今、ライターとして関わっている案件と外編集として関わっている案件が同時進行しているのだけれど、編集者と著者の関係を考えると、どういう役割にせよ、著者に近くいる人のほうが信頼関係が築けるのは間違いないと思う。
書籍はすべてオンリーワンのものなので、著者がどういう知識や経験やノウハウを持っているかを探ることから始まる。だれがみてもわかりやすい成果が本になりやすいけれどが、実は深くやりとりしないと見えてこないコンテンツもある。
と考えると、やはり著者の近くにいる人が可能性をより感じられるということだし、本を書きたい人のそばにいて、その可能性をひきだそうと一緒になって本作りをする「経験」が信頼関係を生むのだと思う。戦友という感じかもしれない。クライアントに対しては皆お付き合いが長いので、その人が自覚しているより自分は可能性を感じている。
テーマの方向性が固まったとしても、いざ書き始めると書きたい人の悩みはますます深くなる。日々忙しい時間はとれないし、慣れないことで時間はかかるし、そもそもこんな文章でいいのかなと不安になったりする。あるいはビジネスがうまく行っていなければ執筆どころではない。その悩みにだれが聞いてくれるのか、応えてくれるのか。そことだれかがきちんと向き合ったほうが絶対早く、いい原稿ができるし、早く商品ができるということだ。ただ、そこまで一緒にやれる人が出版の世界にはないのだと思う。出版社の編集者は皆めちゃくちゃ忙しい。
かつて出版社に勤めていたときに、業務が回らず外部の人たちに頼って本を作ったことも多かったけれど、そういう著者とはやはりいい関係が築けなかった。著者からすれば「一緒に頑張ってくれた人」と思われなかったのだと思う。でも「出版社の編集者がいないと本出せないよね」ぐらいか。それは至極まっとうな感覚だと今になって思う。
本が売れない時代になり、企画が売れるものに偏ればかたよるほど、書く内容やタイトルに違和感を窮屈さを感じる人は間違いなくいる。そういう人たちと一緒に本を作る「経験を共有」することが自分の仕事なのだ。正しい知識とかやり方はほかからいくらで仕入れられる。経験をともにできる存在になるということだ。これが出版の自分がやるべきプロデュースだと思う。極めて属人的だけど、そこでビジネスの効率とか言っていたら、得るものは何もない。
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