前のブログから1ヶ月以上あいてしまった。この間楽しいことも、そうでないこともあり、激しい時間だった。

ここに書くべきトピックは、なんと言っても多部田憲彦氏(一般社団法人日本図解協会代表理事)の著書『図で解りあえる技法』が校了したことだ。予定よりだいぶ遅れてしまったので、支援者の方にはお詫びと感謝の気持ちでいっぱいだ。24日に印刷所で出張校正をし、すべてが終了した。見本は11月1日。

個人的には、相当いい本になったと思っている。時間はかかってしまったけれど、著者の多部田さんと何度も何度も意見交換をし、議論したことは無駄ではないと思っている。とにかく創り上げるには、両者の粘りが必要だ。どちらの気持ちが欠けてもだめだ。途中、一時的な感情はいろいろあったとしても、向かうところは同じと信じて突き進むしかない。今回のプロジェクトは「共創」がテーマだということもあり、今までになく、一緒に作り上げることを意識した本作りとなった。やはり、著者の強みや価値を最大限に引き出すのは、編集者のいちばん大きな役割なのではなかろうか。

本はもっと手軽にできる、簡単にできる。著者が書かなくたって本はできる。それを選択しなかったのは、最終的には自分の満足を得るためだけであり、それにお付き合いいただいたことに感謝している。原稿のbefore→afterがあるとして、beforeは世にでないものだけど、ブラッシュアップされた感じは実感として存在するし、著者が持っているものを著者の次に知っている存在かもしれないと思う(本づくりのあとは、いつもこういう感覚になる、正しいかどうか知らないけれど)。読後の感想はいろいろあると思う。むしろあるべきだと思うけれど、今はそのどれもが受け入れられる。コンテンツが多岐にわたり、何を入れるか、何を入れないか、どう表現するかは常に考えていたことだけど、作っている最中に、このコンテンツを送り出すことに迷いはなくなった。

「図で解りあえる技法」というタイトルは、わりと早い段階から「仮」として決めていた。どこかのタイミングで変更するときがあるかもしれないと思っていたけれど、著者も自分も違和感なく、進めることができた。今となってはとっても自然に思える。「技法」という言葉は、かつての大ベストセラー『知の技法』(東京大学出版会)をちょっと意識した。この本が伝えているような、知に対する深さとこれからの可能性を「図解」に対して感じたからだ(サブタイトルは、「人間関係からマーケティングまで使える8つのフレームワークの使い方」)。著者のコンテンツはこの言葉とともに今後大きく展開していると信じている。

出版社として新たなチャレンジとしては、今回の本は、いわゆるリアル書店では販売をしないことだ。Amazonのみで販売をすることにした。これが成功するかどうか、わからない。ただやってみるだけだけど、本によって、流通のさせ方を変えることはふつうのことではないかとも思う。今回の試みで自分が指標していること(ただ単に返品率とかそういうことだけではないいくつかの要素)があって、それを分析しながら、成功か否かを結論づけることになるのだけど、今までやっていなかったこと&やりたかったことが実現することで、すでにかつての自分より進歩していると思う。

発売は著者の希望で11月23日となった。Amazonもこの日から開始の予定。予約ページは近いうちにできるはず。

とにもかくにも、長い間お付き合いいただいた著者の多部田さんに感謝するとともに、長い間おまたせしてしまった共創出版プロジェクト支援者の皆さまにお詫びと校了のご報告をさせていただきたい。

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