政府の働き方改革の影響か、最近セミナーやシンポジウムなどで、「働き方を変える」とか「考える」などと言った主旨のものが増えてきているように思う。がしかし、「働き方を変えるとはどういうことなのか」と考えるとよくわらなくなる。

確かに自分も「働き方を変えたい」と思っていた時期があったし、こういうことばに反応したときがあったけれど、よく考えてみると、働き方を変えるということは、自分には今以外の働き方の選択肢がある(のではないか)と思っているということだ。それは単に、正社員で働くとか、派遣で会社勤めするとか、契約社員になるとか、独立するとかではないはずだ。国家としての雇用問題と一人の人の生き方を絡ませるとこういう発想になるかもしれないけれど、本来的には違う。では何なのか。

自分が仮に今の仕事をやめて違う仕事をしたとしても、東京から離れたどこかの街で働くことになっても、(ありえないけれど)農業をやることになっても、働き方を変えたとは思わないだろうと思う。そこに自分なりの理(ことわり)がある限り仕事は変わっても「働き方を変えた」とは思わないはずだ。そういう意味においては、今の働き方以外の選択肢はない。

今、作っている書籍はまさにこの「働き方」を問うことがテーマなのだけど、「働き方を変える」という表現をどういう文脈で使っていいのか迷う。「新しい働き方」という語も同様。そもそも働き方なんかないのではないか、と思ってしまうところが前に進まない原因であることは自覚している。

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