知り合いの経営者の勉強会に参加させていただいて、環境の保全や食の安全をテーマに活動しているジャーナリストの話を聞いた。タイトルは『TPPはどうなる?食の安全はどうなる?ー遺伝子組み換え食品を中心にー』。

内容はかなり衝撃的だった。話の大半を使って話してくださったのは、多国籍企業による支配強化だった。グルーバル企業の影響力で、コピー食品や調理しないレストランが増え、日本の企業が日本の食材を使った食事は限りなく少なくなっている。輸入品が多いのは、彼らが「もどき」を破壊的な安さで提供しているからだ。

多国籍企業からすれば、「ほかの国では低単価でやれているのだから、なぜ日本はそんなに高いのか?それは貿易障壁ではないのか?」となる。日本企業は取引の継続を考えれば、当然値引きを余儀なくされる(彼らの販売網は強烈に強大だ)。それはほぼ質の低下、モラルの低下につながる。そんな価格競争の最中で、例のミートホープ事件・中国毒ギョーザ事件や、有名ホテルやデパートのレストランで偽装が発覚した(こういう事件も同時は憤っていたし、関心も高かったけれど、ときが経つと忘れてしまうものだなと思った)。

自由貿易交渉で、日本は常に自動車産業を要としてきた。TPPもしかり。それと引き換えに譲歩したのは食で、日本政府はその点については一貫している、とお話された。自動車の関税撤廃を優先するがために、食の安全の基準を緩めることに同意せざるを得ないという。その一例として、指定添加物の承認数は急増しているし、食品添加物の指定手続きはどんどん簡素化され、迅速化されている(2011年4月8日に閣議決定されたとのことで、東日本大震災の混乱の中で決まったことは容易に想像できる)。遺伝子組み換え食品添加物の安全基準は、事実上不要になっているという。

ほかにも残留農薬や人工甘味料の怖さ、ゲノム編集技術のことなど、たくさんのことを教えてくれた。もっともショックだったのは、遺伝子組み換え食品の危険性は研究者の間で発表されているが、それを封じ込めるべく、影響力のある雑誌のトップに、多国籍企業の息のかかった人物を登用して、遺伝子組み換え食品に否定的な論文は掲載させないこともあるのだという。だから「なかなか本当のことが表に出にくいんですよね」。ここまでくると、人はお金で簡単に動くのか、と思わざるを得ない。でも、巨額の金額を提示されたら、世のため、社会のためとか言っていられなくなる、というのが普通の感覚なのかもしれない(いや、もともと多国籍企業派だからそんな抵抗はないのかな。それにしても…)。

誘っていただいた経営者も、その話を聞いてあぜんのひと言。オーガニック製品を作っている会社の社長さんなのだけれど、知らないことが多すぎたと言っていた。これからやるべきことをやらねばならない。

そんなとっても刺激的な話をしていただいたのは、天笠啓祐さん。口調は穏やかだけれど、一生をかけて伝えなければならないことなんだと思った。気迫の仕事。

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