『「ありえない」をブームにするつながりの仕事術』は今日から取扱開始。配本されないので注文があった書店に今日発送を開始するという意味だ。早ければ明日店につく。でも即日開梱されて店頭に並ぶかは書店次第。

この本を作ってから、いよいよ出版流通は崩壊したと思った。なぜだろう。危機感を持っている人はもっと早く感じている人もいるはず。ただ「そんなこと今ごろ気づいたのか」と簡単に言う人ほどきちんと考えていないし、「いやまだまだ大丈夫」という人の感覚もずれている。

個人経営の出版「者」は取次も流通も営業も販売も広報もすべて自分事だ。部署異動も定年もない。本を作っていればいいだけではなく、むしろ作ってからが勝負だ。本が売れない時代だったら、売るためにどうすればいいのか考えるのかは誰もがやるべきことだ。本を書きたい人に「出版不況で厳しいから企画も厳しいんですよ」と紋切型の返事をすればいいものでもないし、売れる著者に本を書いてもらえばいいというものでもないし、二番煎じの本を出し続ければいいものでもない。

このところ「自分らしい出版」を求めて、訪ねてきてくれる人が多いのは本当にうれしいことだ。うちのような出版社から出す意味は数とか規模を考えれば、まったくない。他社から出したほうは絶対にいい。それは間違いない。ただ、それでは満足しない人もいるということを実感してきた。かなり売れた本を出した著者でも満足度はそんなに高くない人もいる。売れる本ためにするために、言いたいことが捻じ曲げられるという。その結果売れなければ目も当てられない。その責任は誰が取るのか?

多くの読者に手にとってもらうには、そういう本がダメということではない。ただ、1冊の本には大きな可能性があると同時に目に見えない限界があるということだ。どの本にどういう可能性をもたせて、それはどこの版元から出版可能なのかということを考えるべきだし、極端なことを言えば自分で出版社を作る発想があってもいい。こういう発想が仕事と出版の関係を楽しくする。

大きなシステム、硬直した仕組みにのせることで済ませるのではなく、一点一点、伝え方を考えるーそういう人たちとこれからの出版、自分たちの出版についてを話すことが楽しい。今の本作りは作ることと伝え方が常に一体になっている。というか、出版がビジネスとして成り立つ前は手売りが基本だったし小規模だった。ネットの時代にこういう原点を思い出させるというのはなんとも不思議なことだ。

話が長くなったけれど、今日が『「ありえない」をブームにするつながりの仕事術』の取扱開始日だ。昨年7月にこの本の原稿を読んで、自分の気持ちはだいぶ救われたし、だいぶ変化した。みんなより半年も得してしまった。それは偽らざる気持ち。そしてオンライコミュニティは楽しい。多くの人に手にとってもらいたいけれど、どこぞのベストセラー作家のように「売れる本にしたいから○○(←書店名)で買ってほしい」とか言わない(こういうことを真に受ける人がいてびっくりするけれど)。応援したいところで手に入れてほしい。

今年は2日から仕事をしていて、仕事始めの感覚がまるでない。ワクワク、ドキドキの案件があり、緊張感がある日々が心地いい。このまま突き進みたい。

※写真は世田谷・祖師ヶ谷大蔵のハンバーガーレストランゴホウビダイナーの齊藤星児さん。60冊お買い上げ。

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