週末にランニング登山の講習会を控え、ちょっとやること多い。というか慣れないことをやると、そういう意識が強くなる。大したことではないのだけど。自分しかやる人がいないと思えばやれる。実際は協力してくれる人たちがたくさんいるのだから、全力でやってもできなかったら、そういう人たちの力を信じたほうがよい。

さて、今回は『ランニング登山』裏側の3回目。

写真のこと。オリジナルの写真は実に味のある雰囲気を醸し出している。この本の魅力のひとつは、この写真にある。なによりカバー写真がインパクトありすぎる。こんな本は今にはない。

当然のこととして、この写真を使いたいと思っていた。ただ、岡田昇さんというカメラマンも亡くなってる。山と渓谷社の人が教えてくれた。著者と同様に、カメラマンの権利継承者も探していたけれど、まったく手がかりがつかめない。どうしたらいいのか?とまたまた難問にぶちあたる。

親しくさせてもらっている出版社の人に聞いたら、著作権者が不明でも供託金を納めれば使える裁定制度という文化庁の制度があることを教えてもらった。この制度に使うことにした。この制度を使うのは初めてだった。

http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/chosakukensha_fumei/

決してわかりやすいとはいえない大量の手引きを読むと、まずは著作権情報センター(http://www.cric.or.jp/)というところに「○○さんを捜しています」という広告を出す必要があるらしい。

やり方を教わって、8100円を払って、広告を載せてもらった。この事実がないと、ちゃんと捜していることにはならない、ということらしい。そのときの広告PDFがこれ(2件申請した)。これに掲載して、1週間(?)ぐらい連絡がなければ、裁定制度を探す要件である「著作権者の見つけるための相当な努力」をしたみなされるらしい。意味があるのかどうかはよくわからない。

ただ、この広告を出したら、同じように広告を出している出版社の人から連絡をもらった。京都にある世界思想社教学社という出版社。教学社は大学受験の「赤本」を出している会社なので知っている人も多いと思う。教学社の人から、カメラマンの岡田さんはなくなっていることと、関連記事のURLを教えてもらった。http://hokkaido.yomiuri.co.jp/shiretoko/2004/2004ohotsuku/20040430_ohotsuku.htm

http://www.big.or.jp/~arimochi/info.02.01.24.13.html

これを読むと、このカメラマンも下嶋さん同様「奇人・変人」だったのだと思わせる。若くして亡くなっている。教学社の人と電話で話し、その人も山を走る人だということがわかり、関係ない話で盛り上がった。こんなところでつながるとは不思議だ。

裁定制度は、その広告を出したあとは、著作権者に払う供託金の額が、客観的に妥当かどうかを示さないといけないことなっている。その客観性を担保するのが、「著作権等管理事業者」。写真を権利を管理している事業者に連絡をして、この件についての内容を伝えた。こちらが払う予定の額を伝えた。先方の額とはだいぶ離れているけれど、こちらの希望額としてその金額を書面に残して送ってくれた。

http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/kanrijigyoho/toroku_jokyo/index.html

それを今度は文化庁に送り、承認はもらった、はずだった。何度も担当者とやり取りして作った書名に署名・捺印して送ったのに、「その額について管理団体が認めたものでないと、受け付けられない」と文化庁担当者の上長が言っているとのこと。ここまでくるのにどれだけの時間を費やしたのかと思うと、不快な気持ちが湧き上がる。管理事業者とも話をすると、「その額を管理事業者として認めるわけにはいかない」。この制度のことをよくわかっていない気もしたけれど、先方の妥当とする額とこちらの予算はまったく合わず。文化庁の担当者と経緯を話して、その場で裁定制度の申請を取り下げた。だいぶ凹んだ。

制度そのものは理解できるし、こちらもただで使わせらもらうつもりはないのだけど、裁定制度にまつわるやり取りが複雑だし、その妥当性やらをどう担保するのかはかなり不透明だと思った。

というわけで、だいぶ長くなってしまったので、今回は、このへんで。オリジナルの写真が使えなくなった話でおわりにする。

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