昨日は一日事務所で仕事。部屋にもまだ業者さんが来ているので、その仕事をみたり、少し話をしたり。その話が面白かった。まったくしらない分野の現場の人と話すをいろんなヒントがもらえる。
合間にオンライショップのほうから『ランニング登山』の注文がはいるので、その配送作業をする。友人から「Amazonからの配送が遅いぞ!」との知らせをうけたので、こちらを案内し、知り合いもシェアしてくれた。知らない人からも含め8冊の注文があった。即対応する。今日届く人が多いと思う。
今日は「『ランニング登山』の裏側」2回め。
復刊しようと思ったとき、まず思ったのは、たくさんある図表や地図やグラフをどうするか?ということだった。どうするか?と言っても、スキャンするしかなかったのだけど、実際にうまく印刷にのるかどうか心配だった。新規作成する方法もあるけれど、手間も経費もとんでもなくかかるし、著者不在の中で正確に再現するのはほぼ無理なように感じられた。オリジナル本をバラバラにしてスキャンしてもらった。
途中、組版会社からデータをもらい印刷会社入れて、テスト印刷をしてもらった。スキャンしたところを見ると、ギリギリ許容かなと思った。ただ、実際に印刷する用紙ではないので、あくまでの参考、という話だった。校了後、印刷の立ち会いに行ったのは、それを確認することが大きな目的だった。結果としてはこれでよかったと思う。
地図は画像になっているのでフォントは変更できない。写真中のフォントとそのとき使う予定だった本文フォントに違和感があったので、変更した。そのとき、できるだけオリジナルの組版イメージをいかそうと思った。読み比べる人はごく少数だと思うけれど、復刊というのであれば、この本は、その雰囲気を残すべきだと思った。目次のデザインも、章タイトルの入り方も、近いものにした。本文は2段組みなので、それも踏襲。元の本はA5(ヨコ148×タテ210)というサイズだけど、自分は今のところ出している本はすべて四六(128×188)なので、今回も四六にした。あまり考えなかったけれど、この選択がとっても編集作業を複雑にさせた。
版型をかえるということは、まえの本のレイアウトは使えない(1頁に入る文字数、行数がかわる)ので、文章をにらめっこしながら、どう収めようか? 複雑なレイアウトの本は慣れているけれど、2段組で、写真や地図を縮小・拡大しながら、どう限られた紙面に収めるかが、結構たいへんだった。そしてできるだけ文章は削りたくない、と思った。実際レイアウトの都合でカットした文章はほんのわずか。たぶん全部で1000字もないと思う。30何年前のあのままを再現したいと思った。
ただ、赤字を入れながらも、最初に入れた赤字がそのあとの何十ページにも影響するとなると、変更後の紙面のイメージができず、「○○ページまでにここまでの文章収める、写真・地図適宜調整」などの乱暴な指示も。組版会社とは長いおつきあいの会社。担当者がオペレーターのヨコから電話してきて、細かいところを確認しながら進めてくれた。こちらは自分が望む完成のゲラの姿を伝えた。その後出てきたゲラがドンピシャでびっくりだった。オペレーターはいろいろ考えながら、組んでくれたと思う。赤字しか直さない人もいるなか、こういう人の存在は本当に心強い。負担をかけたけれど、自分が望むものを限られた時間で手にするには、こういう荒業も必要だ。よくやっていただいたと思う。
結果、余白がほとんどない本になった。自分が新規で作ったら、このレイアウトにはしなかったと思うけれど、この本はこれでよいと思っている、完全に自己満足の世界。むしろ、最近の本は余白が多すぎて、中身が少ない。ときに、読者をバカにしていると思えるほど文字が少ないものがある。文字が少ないからダメなのではなくて、明らかに「薄めている」感がでている本がある。「1400円でうるためには200頁はないとね」的な発想だと思うけれど。そういう本はもう作らない。今回の本は口絵を入れて152頁。判型も頁数もコンパクトだけど、心に残る1冊になることを願っている。
次は、オリジナルの写真が使えなかった、でもとってもよい写真を提供してくれた話(の予定)。
松本大presents 下嶋式『ランニング登山』 講習会@万座温泉(8月25〜26日)→https://events.socialcapital.co.jp/