昨日、コンサルのあとに、表参道の書店で開催されていた本の産直夏祭りに行ってきた。

「産直」というだけあって、小規模出版社の作り手を話ができて、どんな想いでその本を作っていたのかが聞けて面白かった。

何社かの人とゆっくり話ができたのだが、やはりとってもユニークな人だった。このご時世に出版社をやっているのだから、書籍に対して、あるいは出版に対して、あるいは文字に対して、強烈な想いがあるのだ。ただそういう想いを、こういう機会でないと知ることができないというのも少し残念な気がする。

そういう出版社から本を出している著者も、そんなに有名な人はいないのだか、出版物から推察するにかなりマニアックな人なんだろうなと思う。お会いしたい人が何人もいた。

自分のところから出版する人もまったく知られてはいないが、かなり独自の世界を持っている人だ。そういう人を世に出すことに喜びを感じるのだ。「自分の身近なすごい人」に本を書いてもらいたいと思っている。

ただ、そういう方向性で出版をすると、著者の知名度が販売促進に期待できないということだ。タイトルも総じて地味。自分は好きだけど。

昨今、出版社は書籍を企画する際に、その著者にどれだけ読者がついているかをとても気にするが、そこがまったくないわけのだ。だから売上は必然的に厳しくなる。もともと刷り部数は少ないし、大手の取次も通していないので当然の結果と言えば、結果だ。

昨日表参道からの帰りに思ったことはその本を作っている人がどんな人なのだかを知ってもらう必要があるのではないか、ということだ。英語では出版社をPublisherというが、erがついているところに「出版する人」の意味が強く込められているように思う。あえて日本語にすれば、「出版者」ということだ。

その「出版者」が何者だかを伝える努力の必要ではないかと思うのだ。「興味のないジャンルだけど…」、「知らない人が書いているけれど…」、「タイトルもなんとなくピンとこないけれど…」、「でもあの人(publisher)が作っているから買ってみようかな」と思ってもらうことを目指さなければいけないのだと思う(このことを指して「情報発信」というといきなり陳腐に聞こえるのでその言葉は使わない)。

もちろん不特定多数の人にそんな気持ちを持ってもらえるとは思わない。でも出版者のファンは作ることはできるのではないかと思うのだ。テーマや著者で本を買ってもらうのが当たり前のことだけど、それに加え、出版者でも選んでもらうべきなのではないか。それは自分が常に考えている「特定少数から特定多数の出版」ともリンクしそうな気がするのだ。

昨日買ってきた2冊。

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