企画を立てるときに、どこかで独自性を出すことは必須ですが、あまりそこばかりにこだわると逆に通らないことがあります。なぜなのでしょうか。
共通の基盤を持っているか
企画を通すには、まず目の前の人に納得してもらう必要があります。その人が企画決定者でない場合は、目の前の人が企画決定者に伝えるプロセスも考慮しないといけません。そんなときに、まったく新しい企画は伝わらない可能性が高いです。なぜかというと、企画はある共通の基盤の上に常になりたっているように思うからです。分野や切り口やアプローチなど、近いものが必ずあり、そのある部分を変えると新しいメッセージが発信できる、という方向に持っていかないといけないのです。
見えている部分と見えていない部分のバランスは
分野も切り口もアプローチもすべて新しいものができるとしたら、それは相当斬新なものかもしれませんが、目の前の相手がイメージできなくなります。共通の基盤がないからです。結果として企画は通らなくなります。逆に100%イメージできるものは、すでに存在できる可能性もあります。これはこれでOKはでません。つまりやる前から見える部分とやってみないとわからない部分の両者のバランスで成り立っているようにも思います。どちらを重視するかは、編集者の好みにもよるし、時代の流れもあるでしょうし、発行のタイミングもあるはずです。
最後に
そう考えると、まったく新しい企画は成立しないのです。「いくら斬新な企画です」と言われても、中身が想像できないとOKはでません。この既知と未知のせめぎあいは、執筆している人にはより敏感に感じることなのだろうと思います。想定読者がイメージできていることか、いなか、これを考え続けると、書くべきことが定まり、表現も見えてくるような気がしています。
おまけ:企画に立て方についてはさまざまな本がでていますが、ぼくはこの本がおススメです。ある版元の編集者が「隠れた名著」として紹介してくれた本です。ホントに参考になっています。