難しいことをやさしく書くことはとっても難しいです。ネガティブなことをポジティブにすることも難しいです。その過程で書き手の「変換」が必要になるからです。変換に書き手の思想なり、気持ちなり、技が反映されます。

読み手がストレスを感じないために

読み手を限定している専門書は別にして、一般向けの書籍は難しい内容をやさしくする気持ちは書かせません。専門用語はできるだけ避けるか、使うにしても補足説明が必要です。内容が追えないと、読み手は簡単に読むことをやめます。本を読むときにできるだけストレスを感じたくないのは当然です(やることがたくさんある中で、この本を読んでもらっている姿をイメージが必要です)。

新書から「やさしく書く」を学ぶ

私はやさしく書く感覚を磨くには、新書がいいと思っています。一口に新書といってもさまざまですが、コンパクトな新書サイズで、ソフトカバー、250ページ程度の読み物は、明らかに手軽に読まれることを前提としています。かと言って、新書のトピックは、やさしいものだけではありません。むしろ、難しいテーマをやさしく表現しているものが多いです。

むずかしくなく、やさしくなく

先日読んだこの本が扱っているテーマは本来難易度が高く、専門家からすれば、物足りない部分もあると思います。専門家である著者も、ページ数の絞り方や専門用語に使い方、エビデンスの入れ方にだいぶ苦労したのではないだろうかと勝手に推測してしまいます。ただ、自分のレベルにはぴったりの本でした(そもそも専門家はメインのターゲットとしていないということです)。むずかしくなく、やさしくなく、という感じです。

最後に

だれにとってむずかしくなく、やさしくないのかーこれを決めるのは、読者の「相場観」です。どういう人たちにいちばん読まれたいのか?そのことを徹底的に想像することかなと思います。一定のルールがないからこそ、日々その感覚を磨く(想像する?)練習が必要なのです。
==【昨日の活動・所感】==================
・松浦弥太郎氏に触れた記事に対して、質問をいただく。いちばん好きな本は?ということだった。あえて1冊挙げるとすると、『今日もていねいに』かも。

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