松浦弥太郎さんの本は、好きでよく読みます。食べるもの、着るもの、住む場所など生活の質にこだわり、自分に快適な空間と時間をデザインする発想にとってもひかれます。そして松浦さんが編集長を務める『暮らしの手帖』も読みます(妻が読んでいるので)。

読ませる雑誌・考えさせる雑誌

隔月刊のこの雑誌は、読ませる雑誌、考えさせる雑誌です。内容もさることながら、デザインは本当に好きです。過度に色を使わないデザイン、写真の使い方、見出しの入れ方などなど、あらゆるところに技を感じますし、この時代に活版なのもこだわりを感じます(自分自身、この雑誌の活版に影響されて、年賀状と名刺を活版印刷にしたこともあります)。

編集長からの手紙

この雑誌に『編集者の手帖』というコーナーがあります。目次にも入っていて、ひとつの企画になっています。内容はというと、編集長から読者へのメッセージ。通常は、ちょっとしたカコミの編集後記にするのが一般的ですが、このコーナーに丸々1ページ(文字数500字弱)使っていています。

「添え手」あることを忘れずに

今出ている号を読むと、松浦さんの仕事は今号で終わりとのこと。9年間も編集長をされていたらしいのです。その詳細は書かれていませんが、そこで触れているキーワードは「添え手」。馴染みの理容室のご主人に「お仕事でいつも心がけていることはありますか?」との問いに、そのご主人は「添え手という言葉がありますように、仕事はすべてその心持ち」と答えてくれたというエピソードを、松浦さんは書いています。そして自らの仕事も「今思い返してみれば、唯一自分にできたことは、何があろうとも、みなさまへの「添え手」だけは一瞬たりとも忘れてなかった」と記しています。

何をするにも、必ず手をやさしく添えて、次の動作なり行いを相手に知らせるひと手間をかける。また手をそっと添えていることで、何があってもすぐに助けることができる心づもり

今日もていねいに

これを読んだ瞬間、こんな気持ちの余裕を持ちたいと思ってしまったのですが、本当はこういう余裕がないと仕事をしてはいけないということなんだと思います。仕事の先には見えなくても生身の人がいる。このことを再認識されられると同時に、松浦さんが「今日もていねいに」、と言い続けている理由がわかります。

最後に

最近、編集長の顔が見えない雑誌が多いなかで、作り手の顔や作り手のこだわりを見せる、こういう雑誌です。松浦さんの雑誌づくりはこれで最後で残念なのですが、これからの行方も楽しみにしています。

==【昨日の活動・所感】==================
・朝ランニングしてから、午後打ち合わせ1件。夕方コワーキング。4月からのスタートダッシュに備える。

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