ユニークな出版社として知られるミシマ社の三島邦弘さんは、自書のなかで、編集者は「受ける」力が大事と書かれています。受ける力とは、端的に言えば、著者が書いた文章をどう受け止めるかということです。感受性を高めて、著者の意図を明確に理解しないといけません。

「赤を入れる」ときに考えること

著者の原稿を読んでいて、変更が必要だと思えば、通常赤ペンで修正をいれていきます。これを通常「赤入れ」というのですが、最近は、この赤入れのときに気をつけていることがあります。修正したくなった文言や表現に対して「なんでこの言葉を使っているのだろうか」と考えてみるのです。この作業自体はたいしたことはなさそうですが、絶えずそこを疑問に持っておくと、全体のトーンを調整したり、めりはりをつけたりするときに役に立ちます。

「私」を使うか、「ぼく」を使うか

わかりやすい例を挙げれば、原稿中、ずっと一人称を「私」と表記していたのに、突然「わたし」と表記しているケースがあるとします。そこを単なる変換ミスと考えずに、何か意味があるのではないだろうか、考えてみます。さらに「オレ」という言葉が出てきた場合は、書き手の気持ちが明らかに変わっていることがわかります。どうかわっているのか、など著者がその言葉を使った思いに一瞬気を配るということです。

赤を入れるタイプとは?

このあたりのことを理解せず、編集者が赤を入れまくって、著者とトラブルになることがあります。「自分は原稿に赤を入れるタイプ」という編集者もいますが、それは自分の軸に著者の原稿を合わせようとしているのかどうか、考える必要があります。どの本もどの著者でも赤を入れるのであれば、その傾向が強いといえるかもしれません。たくさん「赤を入れる」と編集者はへんな(?)達成感があるかもしれませんが、自分の趣味に合わせた修正であれば、やめるべきです。読みやすくするための赤のみにするべきでしょう。

最後に

「なぜこの言葉をつかっているのか」の視点は、会話でも重要な視点だと思っています。気持ちの中では「それ違う!」と思っていても、「なぜ?」を問うことで、相手の言うことを即座に否定することもなく、相手を理解する姿勢につながっているような気がします。こういう力も受ける力と言えるでしょう。
==【昨日の活動・所感】==================
・日曜日のマラソンのダメージが大きく、自宅近くの整体に初めて行ってみたら、30年前ぐらいの大腿骨骨折の影響のため左脚が1センチぐらい短いと言われた。今まで、相当数の整体、マッサージ、指圧に通っているが、こんなことをいわれたのは初めて。
・夜は、コンサル仲間と新年会。いつものことだが、濃い話しでとっても盛り上がる。

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