1冊目の本を書くときのテーマ設定はきわめて重要です。たとえば、TOEICをテーマに1冊目を書いたら、その後も基本的にTOEICの著者として認識されます。その本が成功すれば、他社からTOEIC関連のオファーがあるとは思いますが、そのジャンルから出ることはありません。本人がもし真剣に取り組んでいれば、TOEFLの本は書けるようになる程度です。

今やっていることを抽象化してみる

TOEICを教える先生であっても、TOEICだけではなく、もう少し方法論を抽象化して、「英語勉強法」をテーマにする手もあります。そうなると、ちょっとだけ間口が広がる感じがあります。ただ、このジャンルもかなり書籍が溢れていることとネットでこの手の話はたくさんでていることと、テクニック的な話になりがちなので、書籍として成功するかどうか、と言われると難しい気がします。でも可能性はないわけではないです。

「私」を企画の軸に据える

そこでどうアプローチをしていくかというと、「私と英語」というテーマで深堀りをしていくのです。私が主体、英語が客体という関係になります。「私が英語にどうか変わっていったか」「英語が私をどう変えたのか」「私は英語をツールをして、何を伝えたいのか」など「私」が軸になります。私の経験を伝えたい人、私の経験で救える人、私の経験で変容させられる人などを考えて行くのです。

無自覚的な領域に踏み込むには

こういうことを他者を一緒にやっていくと、必ず無自覚的に感じている、勉強に対するストレスとか業界の方向性に対する疑問とか成果の出し方に対する不信感があぶり出されてきます。さらにそこを深堀して行くのです。なぜそう思っているのか。なぜ自分は今これをしているのか。ここまでやろうと思っても通常は、日常の仕事に追われていたり、短期的な思考に陥っていたりして、なかなか自覚することはできません。

商品の差別化は最後の段階

この領域は個人の経験なので、他者の差別化を考えることはありません。人の経験はすべては固有なのです。でも表現の軸が読者とかクライアントにより過ぎるから、よくある話になってしまうのです。もちろん読者のニーズとかクライアントへの価値提供を考えることは必要です。そこがないと仕事をする意味がありません。でも自分の深堀りをしないで表現しようとすると、その表現が陳腐になるのです。

まとめ

とても高度な知識を提供する本(=専門書)や短期的に完全にノウハウに徹する本(=マニュアル的な本)は別ですが、そうでなけば、自分を軸に思考を深めたり、発想をひろげたりすることは自分が書くべきテーマの発掘に必要なプロセスなのです。テーマの選び方で著者の人生が変わるとも思っています。

==【昨日の活動・所感】==================
・あれこれ時間に追われる日々。見舞いが予想外なのだが、これは仕方がない。今年はこんな感じで終わりそうな気が…。
・その人にとって本を書くことは何か。編集をしていただけでは気づかないことがたくさんある。

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