編集者の仕事はよくわからない、と言われることがあります。親でさえも、自分がこの仕事に就く前は、著者が原稿を書けば、本ができると思っていたらしく、「編集者って何をやるのか」と聞かれた記憶があります。ま、著者が原稿を書かないと、編集者の仕事はないのですが…。

編集者とは何をする人か?

編集者とは何をする人か?一般的な説明をすれば、世間が求めている情報を嗅ぎ付け、それを表現できる著者を探し、その情報をもっとも読者に伝わりやすい形に加工する仕事と言えるかもしれません。表現する媒体が本という形であれば、書籍編集者になり、雑誌であれば、雑誌編集者ということになります。

著者の視点で本を作る

この定義はたしかにそうなのですが、ちょっと違和感を感じてもいます。著者の視点が弱いからです。著者の書きたいものを表現する人という定義があってもいいのではないか、と思っています。売れると思わせられなければ企画にならないも事実だし、著者の自己満足では読者がついてこないのも事実です。

著者の満足度を高めることに力点を

ただ著者が満足のいくものが書けて、かつ、マーケットのニーズがあるものを満たす領域を目指すべきと思っているのです。もちろんどんな本もこのふたつは考慮にいれて企画しているはずです。ただ、最近の傾向を見ていると、売れそうなものに力点を置いて書いている本が多いようにも思っています。

それしか書けないものを深掘りする

著者が書きたくてしかたがない原稿は勢いがあります。すごさを感じます。極端なことを言うと、「それも書けます」ではなくて、「それしか書けません」という領域です。こう言い切れる人の仕事は、「気」が入っています。かつて「著者が言う、何でも書けます、は何にも書けない」と教えてくれた先輩編集者がいましたが、それは確かにそうだと実感します。「それしか書けない」人に原稿を依頼する編集者もかなりの覚悟が必要です。その人の言葉を確実に伝えることに失敗したら、その人のコンテンツは今後世に出ない可能性さえあるからです。

まとめ

自分は、著者のそういった強烈なメッセージが読者の潜在的なニーズを掘り起こすとも思っています。役に立ちそうだから、読む本もいいのですが、よくわからないけれど、熱い本を作りたいとも思っています。その企画の検討は、緊張するし、集中が必要だし、時間がかかりますが、これをやるためにプロデュース業を始めたとも言えます。著者の満足度が高く、しかも潜在的なニーズがある企画を出版社に提供できれば、それは意味のあることだと考えています。

 

==【昨日の活動・所感】==================

・12時前から5時過ぎまで、ゲラ読み。図表が多い本なので、余白の調整が難しい…。でもこの本は競合書に勝てる、と思う。完全にマーケットインの企画。

 

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