出版企画がなかなか通らない時代と言われます。出版点数は増えているのに、なぜ通りにくくなっているのでしょうか。編集者は、通常、編集業務と企画立案の両方をやることが求められます。企画がないと編集業務はありません。ただ、時間の配分からすれば、編集業務のほうが圧倒的に時間がかかります(一般的な場合です)。

企画と編集にかける時間配分は

ということは、編集業務をしている時間が長ければ長いほど、企画に割かれる時間が少なくなります。企画のアイディアを出すためには、時間に比例しないので、企画:編集=1:9という時間配分だとしても、不思議ではありません。ただあまり編集業務に時間をさかれていると、アイディアを考える機会や余裕がなくなります。常に企画のアンテナを立てて、ふだん行かない場所にいったり、普段あわない人にあったり、ぼーっとしているときに、ふとアイディアが浮かぶことがあります。机の前で考えてもアイディアは浮かばないものです。

企画を立てるために必要なことは

編集業務に追われていると、机の前で企画を立てようとします。内容についてあまり検討されていないのに、ノルマや予算に追われて企画を立てざるを得ないというケースもでてくると思います。そうなると、今度は、書類の見せ方で企画を通そうとします。著名人を連れてきて、キャッチーな言葉を並べ、これは売れそうです、とアピールするのです。ときには根回しも必要になるかもしれません。そんなことを考える編集者が多いと、売れる人にはオファーが殺到し、世の中にまだ出ていない人(だけど強烈なメッセージを持っている人)に目を配ることが少なくなるわけです。

著者のすべてを知る努力

企画が通しにくいというのは、もしかしたら、そもそも情報が少ないからではないか?とも思っています。企画を検討する人たちに、その著者がもっている一般的な情報しかプレゼンできなければ、企画が通らないのは当然です。時間をかけて、書き手のいろいろなことを知り(というか、その人のすべてを知るる、という意気込みで取材し)、その中から「これは!」と思うものをコンテンツとすれば、ノーと言える人はいないのではないかとも思っています(実際の場面では、ここは慎重に考えるべきですが、考え方として、ということです)。もっと言えば、新たな書き手を探して、書き手のすべてを知って、本質的に何か提供できるかを真剣に考えている人はどれぐらいいるのか、とも思います。企画書に反映されていないことのなかに宝(=本のネタ)はないかと疑うことも必要だと思うのです。

まとめ

この内容は、自分の経験をもとにかなり単純化しているので、まったく違う事情も存在すると思います。ただ企画が通しにくくなっていることと、出版点数が増えていること(それに伴って、編集者の仕事が増えていること)の事象を深く考えることが、今後の方向性のヒントがあるように思います。

==【昨日の活動・所感】==================

・プロジェクトレポート作成中。かなり煮詰まって、前に進まない。対象の情報が少ないのか、関連情報が少ないのか、両方足りないのか、分析が必要。

 

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