今、古典とも言える名著(翻訳本)の編集をしていますが、その訳者の原稿の作り方がハンパではなく、丁寧なのです。原典にない図表や注釈を読者の理解のために追加したり、著者の誤記と思われる点も丁寧に指摘したりしています。しかもWordでレイアウトされていて、このまま紙面にしてもいいぐらいの作り込みをしています。ある大学の先生が訳しているのですが、まさに職人技です。

訳者の気迫を感じる原稿

注釈や参考文献の数、引用の箇所などが膨大なのと、図表もあるため、組版はかなり複雑です(ページ数も400ページを超えるのではないかと思います)。はっきりいって、オペレーター泣かせです。同時に、編集者や校正者も大変ですが。ただこの原稿を見ると、その組版がもっともふさわしい形のように見えてきます。訳者の気迫に押されているという感覚でしょうか。

迷いがなく、邁進した人の成果

この翻訳の作業には2年以上かかっているといいます。この作り方を見ると、その時間は納得します。ただ、一方で2年かけても何もしない人もいます(自分もそうかもしれません…)。2年間でこんなに成果を出せる人とそうでない人がいるということです。結果が出せるのは、自分がやっていることに迷いがなく、邁進できるからだと思うです。自分がやるべきことに迷いがなく、しかもやりたくて仕方がないことには、こんなにエネルギーを費やせるものなのか、という思いにさせられます。人と仕事の関係を考えさせられます。

時間がないからできないはウソ

そう考えると、「時間がないからできない」という理由は成り立たないことになります。のめり込める対象物がないから、あれこれやってみるから、時間がないのかもしれません。それ自体は悪いことではなく、むしろやるべきです。ただ大量に時間を費やさないと結果がでないのだとしたら、やるべきことは自ずと絞られるはずです。

まとめ

ひさしぶりに、こんなに手のかかった原稿を見たような気がします。この本は多くの研究者にとって有益な本になります。この分野に携わる人たちは、この原書の翻訳書を待っていると思います。訳をこの先生に頼んだ編集者とこの種の本を発行する版元にも意気込みを感じます。

==【昨日の活動・所感】==================

・仕事しているのだが、勉強をしているのだが、よくわからないが、こういう仕事もありがたい。

・新たな出版社と打ち合わせ。いいコラボにしたい。

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