本づくりは本当にチーム力が問われます。版元の編集者と著者のほかに、デザイナー、DTPオペレーター、イラストレーター、校正者、場合によっては外部編集者など、1冊の本に関わる人は少なくありません。すべての人が「やらされ仕事」と考えていたら、いいものができるわけはありません。「やりたい仕事」と皆が思ってもらうには何が必要なのでしょうか。

やりたい仕事と思えるためには

とってもわかりやすいことですが、「適正な支払い」を受けることがまず必要です。著者がもっている知識は、いってみれば原材料です。そこに編集を加え、商品になるわけです。原材料をけちってはいいものはできませんし、デザイナーとか校正者など編集に力を貸す人たちだって同じことです。

仕事の向こうにいる人たち

加えて、自分が自分の持ち分をきちんとやるという覚悟が必要です。仕事の向こうには、必ず人がいます。本の向こうには、読者がいます。あまりにも安い仕事とかあまりにも急ぎの仕事だと、向こうにいる人たちを忘れがちになります。寝ずに仕事をし、超短納期の仕事をこなしたことに満足する人もいますが、私はそういう仕事はしません。時間に追われると、とにかくページをめくって最後まで目を通すことしか考えなくなるからです。

読者ナシの本づくりとは

そういう仕事をするともっと怖いことがあります。自分の中で読者不在となり、ページをめくることが仕事と思ってしまうことです。そう思ってしまうと、よりよい工夫とかより読みやすい本への追求をしなくなるのです。関係者がそういう仕事しかしなければ、いいものができるわけはありません。最近、本が売れなくなっているのは、こういう意識の現れが質の低下を招いていることも一因と考えています。

まとめ

どれだけ役に立てるかとか、だれの役に立てるかを、著者、編集者など本づくりに関わる人たちが考え続けることはやはり大事です(というよりも、それが考えられなくなったら、仕事をする意味がないです)。各人がその意識を共有し、指示を的確にし、チームとして機能させ、プロジェクトをまとめることも編集者の力量のひとつだと思っています。個人商店的な仕事をする編集者は、このスキルが弱いとも感じています。

==【昨日の活動・所感】==================

・午前中コンサルを受け、スペシャルプロジェクト(?)のミーティングへ。新しいことがやれそう。

 

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