出版企画が通りにくくなっているケースが増えている、ことについて先日、記事にしました。今日も企画に関する話です。

企画成立後の内容変更は?

たくさんのリサーチと書類を作成して、企画会議を通過させたあとに、著者にそのことを伝え、正式に依頼をします。もちろん企画書に提出した内容で書き進めてもらうことになるのですが、書いている間に著者の方針が変わるケースがあります。実際に書き始めないとわからないこともあるとは思うので、編集者としてはそういう変更も想定しています。

基本は著者の意向に沿うべき

実際に、かなり大きな変更を伝えてくる著者もいます。今まで議論してきたことは何だったのか、あるいは一生懸命企画を通すためのリサーチは何だったのか、などと思うこともありますが、それでも著者の意向に沿うべきだと思っているので、できるだけ新路線での方向で実現することを考えます。

企画が通ったら、こっちのもの?

不思議なのは、出版社の内部でその変更を確認するシステムや議論する場はないということです。担当編集者からすれば、その変更を会社に伝えることによって、企画が差し戻されたり、追加資料を作成しなければいけなくなるので、企画の変更があっても、そのまますすめたいというのが本音でしょう。私としても、企画通過後の内容変更を画一的に把握することがいいとは思いません。

企画を通すための企画書

であれば、企画会議を通過させることに費やす労力にはどれぐらい意味があるのでしょうか。私としては、先の記事に書いたように、著者や編集者の余計な手間をかけることでモティベーションが下がることを危惧しているのです。仕事に集中すればするほど、モティベーションが気になります。さらに、企画を通すまでに時間をかけ、通ったあとはいくらでも変更可能と思ってしまえば、企画を通すための書類作りに励むことになります。そういう構造を戦略に使う人も出てくるかもしれません。となると、今までの企画成立までのプロセスにはムダがあるかもしれないことを考えるべきかなと思います。

まとめ

時間をかければ、いい企画ができるというのは、幻想だと思います。多くの人が意見を出せば、いい企画ができるというのも、勘違いです。短い時間で判断するには、自分で決めるという意識と、その意識の基づいた実行と、実行の結果を細かくフィードバックすることです。このプロセスが編集者の質を高めると思っています。

==【昨日の活動】==================

・午前中打ち合わせ。行き帰りラン。暑かった…。午後、コワーキングで仕事。

・このブログを見てくださった方から、仕事のオファーがある。ありがたい。こういう機会は大事にしたい。

・夜、友人(IさんとKさん)を自宅に招いて会食。いろんな意見が交換できて、たのしいひととき。以前は、さんざん飲んで最後のほうは会話の記憶もなく…なんて会が多かったけれど、最近は本当にそういうことがなくなった。

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