出版の企画が通すことが厳しくなっている会社が多くなっているようです。返品が多いから、企画を厳選して、しかも部数は少なめにしているようです。出版社の論理からすれば当然かもしれません。ただ企画を厳選ってどういうことなのでしょうか。

会議に提出する資料が増える会社

会議にかけるまでの企画書を作るために、何度も著者に会い、著者にも文章を書いてもらって、企画を後押しする情報をネットから集めて…など提出する資料がふえています。しかも会議に列席する人は、現場のことがよくわからないので、基本的な情報をつけて提出する必要もあるとか。膨大な時間をかけて、準備周到のつもりで会議に提出してとしても、会議で不可解な理由で差し戻され、再提出(あるいはボツ)などの判断をくだされることもあるというのです。その場ではその企画をいいモノにしようというアイディアは一切出されないようです。

時間をかけすぎるとモティベーションは下がる

このプロセスで不思議だなと思うのが、会議に参加する人たちに説明するために基本的な情報をつけたところで、企画そのものはまったくよくならないこと、さらに時間をかければいい企画になるという保証もない点です。物事が進むときには、関係者のやる気・モティベーションがきわめて重要です。時間がかかり、いろいろな資料を準備する間に、関係者のやる気は確実にそがれていきます。それに気づいているのは担当編集者だけかもしれませんが。

時間をかけるといい企画ができるという幻想

会議を通過させることはもちろん大事ですが、その準備に今まで以上の時間をかけたところで企画が厳選されるとは思いません。ただチャレンジしないことが増えるだけです。結果的にマイナスの効果しか生まないのではないかと思っています。さらに言うと、却下する企画が増えれば増えるほど、自社の商品が減っていくということです。

今までの企画会議で議論していたことは

そもそも本が売れなくなったから、返品が増えたから、企画通過が大変になったという現象はなぜ起こるのでしょうか。その理屈が正しければ、今までの企画会議は、甘かったということにほかなりません。その反省をせずにやみくもに厳しくしたところで、状況は改善されるとは思いません。「企画通過率30%」などの厳しさを売りにしたいのでしょうか。

まとめ

企画の通過スピードは各社まちまちです。いい悪いではなく、会議やそれ以前の準備で意味のある議論をしているかどうかがポイントです。あとは著者にコンテンツを提供してもらわないと出版社は本は作れないので、著者に対する配慮も必要です。こういう時代だからこそ、著者も編集者も出版社もチームとなって企画を進めることが大事だと感じます。

==【昨日の活動】==================

・つかの間の休み。午前中は部屋の片付け。午後授業。

・新たなプロジェクトの準備。

 

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