出版の仕事を改めて考えてみると3つのタイプの人たちがいることがわかります。

まず必要なのは、企画を出せる人。書籍にしろ、雑誌にしろ、企画がないとはじまりません。事業の根幹です。したがって、精度の高い企画を出せること、これがなんといっても編集者の最大の武器になります。

次に必要な人材は、その企画に付加価値をつけられること。他人の出した企画に対して、さらによくするためのアイディアをどんどんだせる人。これも企画の精度を上げるためには必要なことです。

もちろんチームで動く場合は、ひとりの人が、自分で企画を出すことと他人の企画に付加価値を出せることが求められます。 でも出版社の編集部はこの2種類の人間だけで成り立っているわけではありません。3番目の人種として、企画を承認する人がいるわけです。

「承認する」というと、えらい人から何かお墨付きをもらったような感覚になりますが、実は、○○部長とか○○編集長などと言われる、承認する側の人たちは、マーケットから遠い人が多いし、現場感覚からずれている人も多い(もちろん豊富な経験と知識に基づき、企画の是々非々を判断できる人もいますが)。必ずしも精度を高められるとは思えない人もいます。つまり彼らも「やってみないとわからない」と思っているわけです。

だとすると、この3番目の人たちの存在価値がどれぐらいあるのか、疑問に思います。M&Aをしたときに、人材のだぶつきは「意思決定のプロセスにどれだけ関与しているか、で判断する」と、その分野を専門にする税理士に聞いたことがあります。3番目の人たちはダブりとみなされる可能性が高いですね。

そう考えると、自分はいい企画を出し続けないといけないし、そのことによって自分と感性の会った人や満足度の高い仕事に巡り合えるとも思っています。

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