自分が作った本を知ってもらうのは大変だ。ネットで拡散すればOKと思いたいけれど、書店になるとそうはいかない。地道に足を運ぶしかないのだ。著者の佐谷さんは出向いた先で書店に行きまくっている。890を目指しているとか。そんな著者はみたことない。まさに「ありえない」こと。だいたいは発売直後で書店周りは終わる。それがふつうだ。

僕は(というか、小規模出版社の人は皆そうだと思うけれど)出かける先の近くにある書店に行くのが通例。打ち合わせの前後やイベントや飲み会の前とか時間を作って書店に飛び込む。チラシは常にバックの中に入っている。言うまでもなく、書店員の興味や関心、姿勢はバラバラ。「書店員は〜」という大きな主語で語ることは無意味だと思う。それは「著者は〜」「編集者〜」としても同じことだ。どんな人とめぐりあうかが勝負なのだ。最初からわかってればだれも苦労しないけれど、この本に共感してくれる書店員さんとの出会いを求めて出向くとも言える(それにしてもある沿線沿いの書店にはことごとく跳ね返される)。最近は、Amazonのレビューを一覧にしたプリントアウトをもっていって話をしたりしている(現状は21個のレビューがついている)。結構いい感じで話ができていて、もっと早くやればよかったと思ったりもする。

先日は、自分のところが運営しているTamagawa Baseという卓球スタジオの看板を朝書き換え、書店にランニングで行く途中、Tamagawa Base Timesというニュースレターをポスティングして、書店営業。帰りも同じことをして帰ってきた。この間、あるチラシでポスティング要員を募集していた。1枚4円らしい。1000枚配って、4000円か。雇われたら絶対にできないけれど、自分の仕事をどこで知ってもらえるかわからないと思うとふつうにやれる。ニュースレターをポスティングして、書店営業して、ランニングして…いいことしかないと思えるようになった。一見退屈な行為をどう意味づけするかは自分次第だ。

どんな仕事も自分ごとにしないとうまくいかない。ほぼ毎日長時間仕事をしているけれど、会社員のときのような辛さはまったくない。あっという間に時間が経つ。やりすぎは禁物だけど、そのあたりの感覚も自分の中で調整できるようになってきた。大きな精神的なダメージは回避できると思っている。昼に近くの温泉にいけるのはこの環境ならではだ。

自分を知ってもらう活動は、インターネットに張り付いて、SNSで「いいね!」だけしていればいいというものではまったくない。結果は頭を使って足を使って得たことでしかない。ひとりでやれることは大きくないけれど、誰にも縛られずひとりで継続できれば結果的には大きくなる。まさに塵も積もれば…だ。そのためにはどんなことをしてでもいいから自分を知ってもらうという意識をもつことだ。

この間お会いした書店員とは絶版新書で盛り上がった。広報とか、PRとかよくわからないけれど、自分がどういうコンセプトで、どういう出版活動をしているか、どういう本を作っているかを伝える必要があると思っている。

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