本を作っていて、著者が文字にすべきことが確定した瞬間もうれしいのだけど、同時に、その本のカバーをイメージし、どのデザイナーにどうやってお願いしようかと考えることも楽しい。
ただ、今作っている本のデザイナーさんを決めるのがなかなか困難だった。著者の本にこめた思いとか著者の雰囲気を考えると、自分の知り合っているデザイナーさんたちではないな、と。自分にとって本作りの意味が変わったので、当然かもしれないのだけど。
さて、だれにするか。自分の知っている人ではないな、と思いつつ、本棚を眺めていたら、知人の本のデザインした人のことがふと頭をよぎった。そういえば、この本をデザインした人にいつかお願いしたいとかねてから思っていたことに気づく。その知人の本を見ていたら、今回の著者にピッタリのような気がしてきた。
さっそくお願いのメールを書いてみた。忙しい中、事務所に来ていただき、お会いしたら、なんとも感覚が合う人のような気がした。かつては広告業界にいたけれど、その世界とはちょっと違うと思い独立したとか。広告は「台風の目を作ること」だし「巨額の資金を投入したから騒ぎ」らしい。言語化が難しいのだけど、独特の世界観を持っている。この人にお願いできると、長く持っていたい本とか5年後も10年後も人に見せられる本になりそう。長い時間話をさせてもらってそんなことを感じた。
「最近の編集者からの注文は、「文字を大きくして」とか「目立つ色にして」とかが異常に多いんだよね」と知り合いのデザイナーから聞いたことがある。編集者としてのその気持ちはわかるけれど、それってデザイナーの良さを引き出すことことと真逆だったりするかも、とも思う。かつては自分もそのフレーズを連発していたけれど、そういう世界にはもういないことがうれしかったり。
文字が決まり、デザインが決まる。長い時間かけてきた工程の終わりが見えてくるときはとっても楽しい。
デザインの話とはまったく関係ないけれど、最近の1冊はこれ。