2015年上半期の出版物推定販売額が『新文化』に発表されている。書籍・雑誌ともに、それぞれ前年同期比2.3%減、6.2%減と大きく昨年実績を下回っている。推定販売額は7913億円。

書籍の販売部数も3.7%の減少。書籍の返品率は35%ほど。文庫本が落ち込んでいるらしい。ベストセラーとしては、『フランス人は10着しか服を持たない』(大和書房)が60万部に到達、『103歳になってわかったこと』(幻冬舎)も35部を達成。『絶歌』(太田出版)は25万部、『火花』(文芸春秋)は52万部の発行、7月に144万部に。雑誌は創刊点数が36点に対して、休刊は57点。返品率は42.5%に上昇。

これらの数字で気になるのは、やはり書籍の返品率。各社とも部数を落として、この返品率なので頭がいたいはず。1万部印刷しても、3500部は売れないという計算。6500部の売上で1万部の制作コストを考えるとやはりかなり厳しい。初版で部数を落とすしたくなるのも致し方ないか。

こういう数字を見ると、出版社にとっては在庫を抱えない自費出版はより魅力的な市場に見えてくるし、結構関心を持っている人も多いらしい。小さな雑誌広告でも反応がいいと知人の編集者がいっていた。

雑誌は、42.5%の返品率でどう利益を確保したらいいのか。さまざまなカタチの広告が支えているということなのか。この世界はよくわからないが、この間、総合雑誌の編集者と話をしていたら、やはり圧倒的に取材費が削られているのだそう。ライターさんに払う金額を聞いて、そんな相場なのかとややビックリ。

こういう業界的な話題はあまりいい話がないのだが、出版を取り巻くビジネスはむしろ多様化してきているように思う。常に新たな商品とサービスを生み出す力が要求されそうだ。

 

 

 

 

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