昨日の打ち合わせで出た話ですが、本を日常的にたくさん買う人が身近にいると、本はわりと簡単に買ってもらえるものという感覚になります。優秀なビジネスパーソンは激しく本を読む人が多いです。ただ、いわゆるビジネス書は、そういう人たちに向けた本というよりも、ふだんあまり本を読む習慣のない人に、読んでもらいたい本が多いのも事実です。今作っている本にも忙しい会社経営者向けの本があります。そういう人たちに向けた本なのに、簡単に買ってもらえると思うと、いろいろな配慮が足りなくなるのかもしれません。

時間的・経済的な負担を超える価値を

あらためて言うまでもなく、本を読むには、お金と時間は必要になります。それぞれをどうやって捻出するかが読み手には問題ですが、作り手は、その時間的・経済的な負担を超えるものを提供すべきです。というよりも、作り手が持っている価値を読者に伝えるべきです。そのための仕掛けとは仕組みが紙面に求められているということでもあります。

読者はどんな状況で読んでいるのか

編集者は、著者と読者の中間で著者には読者のことを考えてもらい、読者には著者の思いや考えをつかんでほしいと思って仕事をしています。が、そもそも読者がどんな前提で本を読んでいるかを間違うと不親切な本になりがちです。もちろん著者の高い専門性をアピールして、読める人だけ読めばいいというスタンスの本があって当然だと思いますが、ビジネス書はその考えだと失敗します。

最後に

こういうことは言われれば当たり前に聞こえますが、いざ本作りのプロセスに入ると思い続けることは難しいです。取材でもコンサルティングでもライティングでも著者の気持ちをどう伝えればいいのかを試行錯誤です。自分自身は、本はとりあえず気になったものは買うか、カートに入れるかをしていますが、それは仕事だからであって、新しいジャンルのモノを買うときに気持ちを忘れずにいたいです。
==【昨日の活動・所感】==================
・昼新宿打ち合わせ、夕方事務所で打ち合わせ。いずれも本の具体的な紙面イメージを固める段階。何を入れて何を省くか…関係者で検討の会。

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