読者にとって専門用語であっても、書く人にとっては当たり前の用語なので、その説明に気が回らない可能性があります。想定読者の知識レベルをイメージしつつけないと、つい難しい語を使ってしまいがちです。経験の長い編集者もそこに気づかない可能性もあるかもしれません。
本文が始まる前に専門用語を説明する
何を専門用語とみなすかは、どういう人たちを読者として想定するかによって、かわってくるのですが、その説明の仕方にも注意する必要があります。今読んでいる『脳には妙なクセがある』(扶桑社新書)には、目次の直後に「本書によく登場する脳部位」とのページがあり、図とともに「側頭葉」「前運動野」「頭頂葉」などの用語が説明されています。しかもルビがふってあります。
想定読者によって説明を変える
こういうページは読者にとって親切です。本文を読んでいて用語がわからなくなったら、ここにもどればよいのです。この著者・池谷裕二氏の一般向けの書籍は、このページがあります。ただ、講談社ブルーバックスの『単純な脳、複雑な「私」』にはこれに該当するページがありません。目次をみても、内容が難しくなっていることがわかります。想定読者が違うのです。
何冊も出している著者の本は何から読むか
ということは、この分野に知識のない自分がいきなり『単純な脳…』を読み始めると、つまづく可能性が高いです。ページも本文だけで450ページありますし、1ページに入る文字数もこちらのほうが多いです。つまり、著書がすでにたくさんある著者の本を読み始めるときは、やさしめのものから、というのがおススメということになります。当たり前といえば、当たり前ですね。
最後に
話題を戻すと、専門用語をどこで説明するか、何回説明するかは、本を作るときにかなり気を使います。説明が多すぎると、読者にとっては冗長に感じられるし、ページ数はとるし、かといって、説明を省くと、不親切な本になりかねません。池谷裕二氏の本は、『脳には〜』に限らず、一般向けの本は、どれも専門用語を説明するページがあります。この気配りは学ばないとと思います。
==【昨日の活動・所感】==================
・マラソンのダメージはそんなになく、日常の生活に。午前中長野で仕事してから夕方東京に戻る。やること多い…。