「◯日間でできる」「何カ月完成」など期間がタイトルに入った本を意識的に読むことがあります。時間軸と進歩とか成長をどう結びつけているかに興味があるからです。1日単位でとか1ヶ月単位で丁寧に記述されている本もあれば、まったく時間に触れていない本もあります。今、読んでいる本は後者パターンでした。
数字(期間・時間)が入ったタイトルの本を読んでみる
Amazonで買ったこの本は、タイトルに年数が入っています。「◯◯年で☓☓ができるようになる本」といった感じです。タイトルを見た瞬間、1年や2年のスパンではないので、それだけの長い期間、読者に対してどのような変化をみせるのだろうかと思って読み始めたら、その数字がでてきたのは、1章だけでした。著者が、☓☓できるようになったのは、◯◯年だったというわけです。単なる経験談で、簡単に言うと「私(=著者)が◯◯年で☓☓できるようになった話」です。
体験談から読者にどう実現可能性を見せるか
経験談が中心なので、その著者がどのように達成したかはよくわかるものの、それを読者が自分のこととして考えられるようになるのは、ちょっと無理があると思いました。属人的な要素が強すぎて、それを読者が実現するためのノウハウはまったく書かれていません。タイトルにするのではあれば、もう少し実現可能性を見せて欲しかったなと思います。
タイトルには数字を入れたくなるのが編集者
ただ作り手としては、こういうタイトルの付け方をしたくなるのはとってもわかります。単なる体験談では売れないですから。体験談に数字を入れて一般的にするのも考えたくなる手法です。タイトルに数字を入れることはどの編集者も考えたくなることでしょう。
変化や変容、学びの書籍を作るのであればルールは必須
僕自身は、本を読んだあとに、変化を感じて欲しいとか、変容してほしいと思っているので、その成長曲線のような記述を入れたいと思っています。そのためには、著者の経験をもとにある程度、一般化されたものでないと意味がありません。それぞれ状況は違うけれど、個人の経験談から、抽象化されたルールにできないかと考えるのです。なかなか成功させるのも難しいのですが…。
最後に
今回のケースはやはり「◯◯年で☓☓できるするようになる本」なので、もう少し時間軸と成長の過程を見せて欲しかったなと思います(もっと言うと、著者がそれができるようになった時間の半分で可能にするための本にしてほしかったです!自分は試行錯誤したけれど、今考えるとこの方法が近道だった的な流れで…)。オンライン書店で買うと、中身が見れないのでなおさらです。逆を言えば、オンライン書店を意識して、こういうタイトルが増えるのかもしれませんが。会社員時代、上司が「7日間マスター」のような本を作って、「内容はまったくふつうの本なのに、どこが7日間でマスターなんですか!」とお叱りの声ももらっていたことを思い出します。