ネットの普及によって、お金を払って情報を得ることが圧倒的に少なくなりました。以前は雑誌から得ていた情報の多くが今やネットで得られます。価値としてはタダなわけです。出版社としては、タダではビジネスが成り立たないので、マスを狙った雑誌媒体は、そこにいろいろ付加価値をつけようとしますが、無理矢理観があるわけです。

「この本」は何を提供できるのか

情報をタダで流通する流れは今後も加速します。となると、紙の媒体の価値を考えないといけないのですが、こういう議論になると、「本は好きはいるし、紙の手触り感が好きな人とか、活字好きもいるので、紙はなくならない」という話になりがちです、特に業騎の人は。こういうノスタルジック(?)なことを言っているから、ますます時代についていけなくなると思うのですが、情報の提供はウェブに任せた上で、「この本」は本質的は何を提供できるか、という問題なわけです。

紙で読むべきか、デジタルで読むべきか

もちろんこの議論は、簡単ではないですが、作り手のほうが、紙で読んで欲しいのか、デジタルで読んでほしいのかがイメージできていない感じがあります。紙のほうが利益になるから(というよりも、今までそれしかやってきていないから)、紙で出したい、と思っているだけのような気もします。「とは言え、デジタルの時代だから、電子書籍も出しておかないと(あまりビジネスにならないけど…)」的な発想も見られます。

書籍の作り手のデジタルの感覚を養う

自分の中では、絶対紙で読んでほしい内容と、タブレットなどを使えばデジタルでも読めると思える内容のイメージがあります。読んでいるときの絵が浮かぶのです。個人的な感覚の話なので、うまく伝えられないのですが、自分の中でそういう感覚を持つことは、作り手としては重要なのではないかと思っています。もっと言うと、紙の編集者が、文字をデジタルで読まれることに対するイメージを育むということでしょうか。

まとめ

読者が本を持っている姿をイメージするのか、電子書籍で読んでいる姿をイメージするのか。原稿を読みながら意識しています。書籍とほぼ同時期に電子書籍も発売するケースが増えているからこそ、自分なりに、紙の書籍としては出さないほうがよい企画とか、出してはいけない企画、ウェブで展開すべき企画などの感覚を身につけたいと思っています。

==【昨日の活動・所感】==================

・「あなたしかできない出版を実現するための100のリスト」を配布。思ったより多くの反響をいただいたことに感謝。でもよくよく見ると、リストというより、心構え、心得のような気がしてきた。いまさらですが…。

・このリストを作りのために、多くの方からフィードバックをいただいた。かなり時間がかかってしまったが、自分の価値観が表現されているはず…と思いたい。こういうものを作ると気持ちの強さが試されることは大きな収穫。こちらに迷いがあると、読み手はそれを無意識的に感じとる。

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