出版不況を反映して、最近は「とにかく売れる企画を!」と言われることが少なくありません。

この言葉を聞くたびに自分は違和感を持ちます。あえてそんな言葉を言われなくても売れない本を作るぞ!と頑張る編集者もいないし、だれだって、売れる本はつくりたいわけです。

しかし「売れる本」って狙って作るものなのでしょうか。ベストセラーのなった本でも初版6000部でした、なんて話はよく聞くし、どれだけ売れたかなどは、結果でしかないわけです。

そもそも文章は何を書きたいか・何を書かないかを自問自答しながら自分のメッセージを伝えるモノです。その著者の想いを本というメディアを通して、読者にお届けするのが編集者の仕事。

ビジネスとしてやるからには、マーケットリサーチは必要ですが、そこばかり見ていると肝心な想いが伝わらず、二番煎じ的な企画が増えてきます(マーケットを意識すれば意識するほど、新しい企画ができなくなるような感覚もあります)。しかもリサーチしてもコケている本たくさんあるし…。

さらに売れることを意識すると、すでに読者がついている売れっ子著者にしか企画がいかなくなります。新人発掘などにはまったく関心がない会社や編集者も多いですね。

自分が大事にしたいのは、著者と自分自身の納得感かなと思います。どこまでお互いが妥協せず納得して作れるか…。結果なんか予想できないし、予想できない世界を楽しむぐらいのほうが、いいのでは思っています。

…でもこんな甘いこと(?)は、会社に所属していたら、言えないのかもしれません。よかった…。

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