前からあちことで聞く話だけど、著者が自分の本を書店でまとめ買いをするのってホントに意味がないと思う。著者は出版社から自著を買えば通常8掛けで買えるのに、あえて書店で買うというのはランキングを意識してのことだ。「○○書店○○カテゴリーで第○位」といいたいだけのことだ。ただこのことはもちろん出版社にとってはありがたい。

最近は、出版社も著者にすでについている読者に期待したり、著者の顧客に期待して、企画を通すときに、「どれだけ著者の買いは期待できますかね?」なんて話になることもある。その確率はかなり高い。それだけ、書店だけでなく著者のネットワークで売って欲しいということだ。

ただ、商業出版とは、全国の不特定多数の読者にリーチができるから魅力があるのに、著者が買って、自ら売ったのであれば、商業出版のメリットは半減する。自分で自著を買い、印税がすべてなくなったという例は今や本当に珍しくない。部数が少なければ持ち出しになるケースだって普通にある話だ。

さらにプロモーション用にと、出版社が動画撮影などを「オススメ」する例もあるようだ。その費用だって馬鹿にならない。そこまでして売れなかったら、どうなるか。費用は持ち出しの上、次の本が出版できる可能性はかなり低くなる、ということにもなりかねない。

そう考えると商業出版も相当リスクが高い。売れれば爆発的に伸びるけれど、当然その割合はごくわずか。「累計20万部著者!」「忽ち重版!」「10万部達成しました!」の言葉につられて商業出版に希望するのであれば、それはちょっと危険だ。商業出版のリスクのようなことを考えなければいけない時代なのだと思う。

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