ビックヒットを狙って失敗した時は、出版社・著者ともにダメージが残ります。出版社は投下した費用が回収できずに、投資は失敗におわります。博打的な要素が強い、出版ビジネスの宿命かもしれません。
他方、著者の方は、初版部数で支払られる最低の印税は手にしますが、文章を書くために費やした労力を考えると、まったく合わないものになる可能性が高いです。しかも出版社の意向でセンセーショナルなタイトルがつけられて、本来書きたかったテーマでなかった場合はそのダメージはさらに深くなります。二度と自分の書いた本を見たくないという著者もいます。
つまり、著者側の負の結果としては、自分にとって不本意なセンセーショナルなタイトルで、本来書きたかったメッセージを歪められて、思うように売れず手にする印税もすくないということがありえるのです。
むしろ、出版社のビジネスは博打的な要素が強く、初版で止まる書籍が大半ということを考えると、程度の差こそあれ、上記のような結果を背負っている著者は多いと思うのです。
結果として、著者の方としても次の本を出す気になれないとか、出版社としては1冊めの結果がよくないので次の本が出せないということが起こりえるのです。売れない著者というイメージがついてしまったら、それを企画書で払拭するのはかなり至難の業といえます。
そんなことを考えると、出版戦略としては慎重に考える必要があります。編集者を信じて、本意ではないけれど売れそうなテーマを選択するか、あるいはあくまでも書きたいテーマに固執するかどうかです。これは本当に戦略に分かれ目だと思っています。あくまでも書きたいテーマと売れそうなテーマが一致すれば理想なのですが。