出版とは関係ないネタだけど、今主催しているUTMF完走講習会について書いておく。UTMF(Ultra-Trail Mt.Fuji)とは富士山の周りの約170キロを制限時間46時間で走る大会。他のレースでポイントを取得し、エントリ資格を得てから抽選でこのレースに出場できる権利を手にする。こんな感じで出走する前にいくつもの関門があるし、注目の大会なので、この大会に参加し完走することを大きな目標にする人も多い。

そんな大会に仲間がたくさん出場することになった。皆の不安はどれほどのものだろうか。何かできないか、手伝えることはないかと思った。決められたエイドステーションで選手をサポートという制度があるので、それにするか。昨年の大会はこの役だった。

ただ完走した人から話しを聞くのもいいのではないかとも思っていた。友人のTさんはトップランナーのYさんを知っているという。どのレースでも20位ぐらいに入り、リタイア経験なし。UTMFも5回出場している。「いいね」ということでTさんとその人のところへ打ち合わせに行くことになった。神奈川県愛甲郡清川村。初めていくところだけど、東京から意外と近い。

お会いしたところ、前向きにご自身の経験をいろいろお話してくださった。いろいろアイデアがでてきた。大手メーカーがやっているUTMF講習会はあるので、違うことをやりたいと思っていたので、完走保証の講習会を開催することになった。条件を満たし完走できなければ半額返金しますよ、というルールにした。そんなの「ありえない」ことなのだけど、これが最近のテーマなので、そんなことを提案してくれる講師のYさん、つないでくれたTさんに感謝した。

仕組みは衆人環視にある。練習内容を皆に報告するのだ。何事も宣言すれば動かざるを得なくなる。自分のことを考えると、ひとりで決意を新たにしてもコッソリやめていることはたくさんある。そうなってはいけない。皆で喜びも苦しみも悩みも共有しようということだ。自分にとってのありえないことは仲間でやるのが、『「ありえない」をブームにするつながり術』から学んだことだ。

一回目はオンライン座学。コースや装備、トレニーニングメニューを紹介する内容となった。2日前の午前7時からリハーサルをやった。事務所で日がどんどん高くなるのをみて、新たな感じがした。当日は仲間が来て収録開始。いい雰囲気で終わったけれど、いざ動画を見てみると、映像、音声ともに???な部分があった。うーむ、これは出せないと思った。自分の準備不足。YさんとTさんに撮り直しを相談した。ふたりとも撮り直しを快諾してくれた。翌日の夜時間をとってもらいリテイクした。結果いいものができた。レコーティングをオフにして、オンラインのまま飲み会に突入した。3人で深夜までお疲れさま会となった。

初めてのことをやると、予期しないことがでてくる。一回やれば容易にわかるのに、やるまではわからない。それが一歩を踏み出すことを躊躇させる。そういうときはみんなでやる。先日のパブリックレビューイングだってそうだった。そんなことを経験しだすと、自分にとってありえないことだとしても、なんとかなるし、その先がよくわからない感じが楽しくなる。参加者が新たな参加者を誘ってくれる流れもでてきた。

本作りだけでなく、企画の肝は想いを共有できる人とやれるかどうかにかかっている。それだけ。完走講習会は楽しめる。自分の役割を常に忘れずやるときはきっちりやり、あとは楽しくやる。それだけで自分はこの会をやる意味があると思うのだ。

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