先日、クライアントの中間発表を行った。こちらが話したことを受けて、自分が書くべきことを考えることが一区切りつけたところで、自分が考えていることをどう伝えるかを考えるいい機会なので、それぞれのクライアントにやってもらっている。というよりも、中間発表があることで、無理やり人に伝える形にしようとするケースが多いが、それはそれで意味があることだ。

書籍で伝えたいことのアウトラインをA4、1〜2枚にまとめて中間発表に臨む。以下気づいたことをやや一般化してまとめる。

1)新たなキーワードを持ち込む場合には、まずはじめにその言葉の定義をする。既存の定義を自分なりに解釈する場合は、既存の定義を引用し、「なぜ自分はその言葉をその意味で使うのか」を説明する。そこに妥当性が感じられないと、すべてが台無しになる。

2)「AよりBがいい」ということを主張したい場合は、AになくてBにあるものを対比させる。ただ単に「Bがいい」というだけでは、読者の頭の中にはCやDの選択肢とBとの関連を知りたくなる。その疑問を生じさせないために、議論しているのはあくまでもAとBであることを明示した上で、Aになくて、Bにあるものの説明に入る。

3)対比をする場合に、「AよりBがいい」と単純に言えない場合がある。その場合は、共通点と相似点を丁寧に説明すること。共通点も入れないと、議論が乱暴になる。「AもBもこの点においては同じなのだけど、Bを考えたほうがよりこの問題に深くアプローチできる」とか。

4)いきなり類似の概念を同時に持ち込むと読者は混乱する。たとえば、「社会的文脈」と「公共的課題」をほぼイコールの意味で使っているときには、使い分け/置き換えはぜずに、どちらか一方を使い続けること。混在は読者の混乱の招く。使い分けをする場合は、それぞれの違いを明確にしておくこと。

5)伝えたい内容を全部盛り込みたい気持ちはわかるけれど、流れを無視しては読者はついていけない。あくまでも読者の疑問に応える形で構成をしたい。どうしてもつながらない場合は、捨てる勇気も必要。特に最後に「無理やり付け足した感」があると読後感が悪くなる。最後の章、最後の最後の段落、最後の文章は要注意。

6)展開は時系列を意識するのも一案。たとえば、過去の研究があり、自身が取り組んでいる内容があり、それが将来にどのような可能性を開くのかを示す。過去の研究を無視したり、単に批判したりしただけでは、議論は成り立たないし、読者は深みを感じない。今まで「自身が得たことをもとに」「なぜそれを主張したいのか」を時系列で考えてから構成を考える。

 

※クライアント参照用

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