この間、ビジネス書を読んでいたら、会社の経営者の中にはトライアスロンをしている人が多い、と書いている部分がありました。よくある話ではあるけれど、新しい展開あるのかな?と思って読み進めてみると、経営者たちは「自己管理が大切な競技だから」「経営者は自分を追い込むのが好きだから」などの理由で競技をしていると書かれていました。正直言って「あれっ、それだけ?!」という感じでした。

プロフィールを見る限り著者自身がトライアスリートというわけではなく、著者が経営者とお付き合いした中で見聞きしたことのようでした。それはそれでいいのかもしれないのですが、特に目新しいことではないことを、しかも伝聞で表現されていたことに少し違和感を覚えました。

自分であれば、やはり著者自身が体験したことを書いて欲しいと思っています。自身がトライアスリートであれば、表現はもう少し濃くなったであろうし、競技者でしかわらないであろう、経営との共通点なども記せたかもしれません。読者はそこが知りたいのでは?とも思っています。

文章にすると、経験なのか実践の伴わない知識なのかの判断がつきにくいことがあります。どちらがいいとか悪いとか言うことではないのですが、一般論として、たくさんインプットしている人であれば、言葉はたくさん知っています。ただ、そのことと、相手に価値あることを語れることは別のことだとだと思っています。経験するからこそ新しい見方が見えてくるはずです。

ぼくが文脈としてみているのは「おススメ」しているかどうか(あるいは「おススメしていない」かどうか)です。経験してよいと思ったことは、おススメできますが、そうでないことは伝聞のカタチでしか伝えられないはずです(経験していないことをおススメするのはへんです)。

自分はマラソンは何度も経験していますが、トライアスロンは経験がありません。なので「トライアスロンは、経験者によるとやるとよさそうだ」ということは口にできても、「やるといいよ」とは言えないということです。おススメのレストランというのは、行ってみたからこそ語れると同じことです。おススメしないレストランも同様ですね。

もちろん経験していないことを書いてはいけないということではありません。「◯◯さんがいいっていってたよ」という内容でも価値があるケースがあるかもしれません。ただ著者は、限られた文字数の中で、経験したからこそ言えることを書く努力は必要だし、「そんなことだれにでも言える」と思われないようにしないと、文章の価値が下がります。そういう意味で、冒頭の書籍はちょっと残念だったかなと思っています。

【編集後記】

昨日は朝からリサーチをしながらコンサル資料を作り、午後セミナーをやり、夕方打ち合わせという1日。シルバーウィークはたまった本を読む。

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