昨日はトランスビューのDM封入大会に行ってきた。「なんだそれ」という人のために一応説明しておく。

大手取次と契約をしている版元は、必要ないけれど、そうでない小規模出版社が本を流通させるために委託しているのがトランスビューという会社。この会社は書店との直取引を代行してくれている。

大手取次は新刊本がでると、全国の書店に配本してくれるシステムがある。書店の意向を聞かずにお店に卸すので、たくさんの数を配本することができる(これを「見計らい配本」という)。それはメリットだけど、それゆえに返品も多い。書店からすれば「頼んでいないものが店についたのだから、売れなければ返しますよ。売れたらいいですけど」ということだ。この返品は予測不可なので、出版社からすればデメリット。本が売れていた時代は、このシステムのおかげで書店は成り立っていた。よくわからない本が入荷されて、よくわからない人が買っていってお店にお金を落としてくれたということだ。

小規模出版社にとっては、返品は避けなければならない。キャッシュフローがいきなり悪化するからだ。そんな現状に対して、注文をくれた書店にのみ送りましょうというのがトランスビューのやり方。返品可ではあるけれど、書店は自らが注文した本は責任を持って売らなければという意識が強いように思える。だからトランスビュー方式は異様に返品率が低い。これは大きなメリット。小規模出版社はここに魅力を感じているところは多い。

逆を言えば、見計らい配本のような数は配れない。これはデメリットといえば、デメリットし、書店に認知されなければ絶対に注文が来ない。そのために全国の1500ぐらいの書店に新刊本を知ってもらうためにチラシを配ってるし、ファクスDMを送っている。そのチラシが膨大な数(例えば、30枚のチラシが1セットとして、それが1500部)になるので、加盟社の有志が集まって、封入作業をやっているのがDM封入大会なるもの。数十人でやっても3時間以上はかかる(説明がながーい)。このチラシは今月「でた」本と来月「でる」本を紹介しているので、「でたでる」と省略されることも多い。

この会は強制ではないけれど、自分は極力行くようにしている。作業中もそうだけど、作業後の飲み会での仲間との話が楽しいからだ。本当に小規模出版社は実にさまざま。設立の経緯も目指す方向も成功の度合いみ千差万別。だからこそ、自分なりの軸を決めないとブレることになる。人の意見を聞いて、こういうところは真似しなければ、こういうところは目指してはいけないな、などなど。そう考えると、小規模出版社というカテゴリはなく、1社1社の実態があるだけ、という気がする。

結局は、自分自身がどうしたいのかが問われているのだよな、と。

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