先日、英字新聞を手に持って歩いている女性を見かけました。以前(といっても、7~8年前)は、もう少し街中で見かけたような気がしますが、最近では外国人でさえ持っている人を見かけません。「英語で収集しなくても、情報は集まる」と思う人が多く、もはや不要と思っている人も多いかもしれませんね。日本語の新聞だって読まない人が増えているので、当然といえば、当然かもしれません。

でも自分は英字新聞を読む意味はあると思っています。それは情報収集源としてでなく、英語教材として、です。報道機関としてというより、英語学習の素材として利用したほうがよっぽど価値があると思うのです。

スキャニングに使える

英語教材としては、英字新聞はかなり使えます。まずスキミングに使えます。スキミングとは要点となる部分だけをすくいとって読む方法です。短時間で多くの英文に接して、その中から自分が必要な情報を取捨選択する力は、情報社会で必須のスキルといえるでしょう。この力をつけるには英字新聞がもっとも適しています。ニュース記事の構造は、重要度の高い情報を文章の冒頭に持ってくるというルールがあるからです。そのほか多数の記事の中から自分の興味にあった記事を見つけることもスキャニングの練習と言えます。

ジャンルが多彩

新聞に掲載されているジャンルは多様です。自分が興味を持っている分野の記事が必ずあるはずです。社会、ビジネス、文化、芸能、スポーツなどだれもが興味をもてる素材がパッケージされている商品は新聞しかありません。雑誌はというと、範囲が狭まるゆえに、内容が深くなります。専門知識が必要になります。自分の専門以外のことを吸収するには英字新聞がいいのです。そして毎日発行されているのですから、素材に困ることはありません。

新しいボキャブラリーが身に付く

辞書にも掲載されていないような新しい語も新聞記事には使われている可能性があります。TPPやSTAP細胞の説明に困っても、新聞記事が教えてくれます。これは使えるぞ、というキーワードの定義に出会ったら、書き留めておくのもいいと思います。そしてそのテーマに対する、意見も新聞から学べます。この問題について、どう考えているのか、Opinion欄を見れば、有識者のコメントが載っています。そこを読んで、自分の意見を確認するのはとってもいいトレーニングです。

英語に対する恐怖がなくなる

英字新聞は一般に難しい印象があります。日本語なしの文章はたしかにとっつきにくいものがあります。しかしながら「全部は読まない」ことを決めれば、分量に圧倒されることもなくなります。日本人は、日本語の新聞を読んで圧倒される人はいないと思います。それは日本語だからという理由のほかに、飛ばして読む習慣が身についているからです。それを英字新聞にも応用すればいいのです。この飛ばし読みが冒頭の「スキャニング」につながります。英語の量に慣れるには格好の教材です。

TOEICにも使える

TOEICは時事問題こそ出題されませんが、ビジネス寄りの専門的な事柄は出題されることがあります。何よりも大きいのは語学に対する感覚が磨かれることです。「この構文どこかで読んだことある」とか「こういう言い回り見たことある」など、目に触れる英文の量に比例して、感覚的に使える/わかる語彙が増えてきます。

海外の新聞も抵抗なく(?)読めるようになる

最大のメリットはこれかもしれません。海外の英字の新聞が読めれば、日本発の情報だけに頼っていた情報ソースから比べると、情報収集の幅は格段に広くなり、多様性が学べます。ある国際上の問題も、それぞれの国の情報を比べると、「事実は何なの?」と思ってしまうほど、報道に偏りがあることもわかります。そういった偏向に気づかせてくれて、バランス感覚を養えるのも英語ならではの情報収集術かもしれません(本当はほかの外国語も必要なのですが)。

現在、日本の会社が発行している英字新聞は、The Japan TimesとThe Japan Newsだけです。後者は読売新聞が発行母体となっています。一度図書館などで手に取ってみるのもいいかもしれません。

Related Articles: