この週末はFunTrails50キロに参加。奥宮さんプロデュースの大会。今年で2回めの開催。自分は初めての参加。記録よりも完走よりも、大きな気づきを得ることができた。以下、備忘録的感想を。

土曜日深夜1時すぎに自宅を出発、事務所によってから、関越を通って秩父へ。会場となっている秩父神社は100キロの部のスタート&ゴール地点、50キロのゴール地点になっている。駐車場はこの神社の近くに準備されている。3時過ぎに到着。ちょっと時間があるので、車の中で仮眠。家をでる前には2時間しか寝ていない。エンジンを切ったとたん冷えてくる。外気は5℃ぐらい。

4時前に車の中で準備開始。外は雨が降ってきた。予報どおりか。準備を終えて、会場となる秩父神社へ。歩いて15分ぐらい。100キロに出る人たちが雨宿りしながら集まっていた。そこで友人「仙人」と会って、お互いの完走を誓い、自分はスタート地点となる飯能まで西武秩父駅からの始発(5時2分)で移動。飯能についたら、雨がさらにひどくなっていた。スタートの飯能中央公園まで少し距離があるので、タクシーに乗っていた人もいたけれど、自分は20分ぐらい歩いて到着。

受付を済ませる。その前に装備チェックもある。長袖のシャツ、膝が隠れる長いパンツ、レインウェア、ライト2つ、予備の電池、エマージェンシーシートを確認される。テントの中には雨を避けようと大勢の人。雨は昼過ぎには止むとの予報(でも結果的には雨は止むことなく1日降っていた)。スタートは7時。制限時間は15時間なので、最終ゴールは午後10時。8時ぐらいにゴールしたい。

コースは前半はわりと起伏は少なく、後半の勝負の感じ。最初はロードもわりとあった。17キロのエイド(鎌北湖)まで2時間半ぐらいで到着。紅葉がキレイだった。でもかなり雨に濡れて寒い。エイドで出されたカップ麺の「権兵衛」がめちゃくちゃ美味しかった。この大会は各エイドで温かいものが準備されていて本当にありがたかった。

ここまでがウォーミングアップ、ここからが本番。高低図を見ると、急な登りにちょっと下ってという感じ。でもここの区間の記憶があまりない。なぜだろうか。

次のエイドは26キロ地点の顔振峠。温かいものをもらっても、身体は相変わらず寒く、このまま走り続けても大丈夫かなと思うほど。着るもの間違えたか。雨と汗で濡れたウェアが冷たい。着替えを持ってくればよかった。乾いた服がありがたいのは滝行のときに毎回思うこと。冬のトレイルには考えないと。ちなみに100キロのランナーは50キロ地点(飯能)でバックを置ける。

エイドをでるときに「次のエイドまでは約15キロ。これからが勝負だからね!キツイから頑張って」とスタッフの人に声をかけられる。こういうときは本当のことを言ってくれるほうがありがたい。たしかにその通りで、結果的にはここをどれだけ早く通過できるかがでタイムが決まると思った。

エイドをでてすぐはものすごい下り。歩幅を小さくして負担を減らす。3キロぐらい下ったあとは、山の中で急な登り。走る人はいない。しばらくの間、前に登っていた外国人ランナーの背中を追っていたが、途中で見えなくなった。長野・上田の山の太郎山とか2日前に登った金時山を思い出した。ひたすら登り、まずは高山不動というところに到着。それからやや視界の開けた山に出て、また登って、関八州見晴台に到着。雨は少し収まったが霧がかかっていて何もみえなかったので、呼吸を整えて、すぐに次を目指す。

そこからは飯盛峠、ツツジ山、刈場坂峠などを通過。以前出た「おごせ・ときがわ50キロ」のときにも通過した記憶が蘇る。山に入って、登って下って、一瞬ロードに出て、また山に入っての繰り返し。ここが心理的にもキツかった。37キロぐらいからはかなり急な登り。皆歩いているが、歩くスピードはそれぞれ違う。どれだけ早く歩けるかが勝負。

寒いからあまりとらないだろうと思って前のエイドでは水分をボトルにあまり補給しなかったが、意外に消費、エイド到着前にすべて飲みきり、一気に不安になった。身体はずーと冷たい。丸山というところがてっぺん。標高900メートルぐらい。この手前の階段がキツすぎて鬼だった。そんなに長くなくてよかった。鎌北湖のエイドから単純に800メートル登ってきたことになる。

丸山からちょっと下って県民の森というところが最後のエイド。41キロ地点。ここでもおにぎりをたくさん食べた。今回は胃をやられることなく、補給ができた。ここからはほぼ下りの10キロちょっと(このコースは実測は52キロなので、距離表示がやや戸惑うこともあったが、そんなこと気にしていられない)。エイドでちょっと休んでいたら、脚も復活してきた。相変わらず身体は冷たく、テント内のストーブの前で温まっていたが、「あと10キロちょっとですよ〜」というスタッフの声に押されるように、エイドを離れる。「下りは走れ、走れ、走れ」と思いながら、途中で一緒になった人と話しながら下る。トレイルはこういう出会いも楽しみのひとつ。途中すっかり暗くなったのでハンドライトを点灯させる(結果的にはヘッドライトは使わなかった)。コースマーカーを探すのに周囲を照らす必要があるので、ヘッドライトだけでなく、ハンドライトは必須。上級者はハンドライトはあまり使わないらしい。

しばらく下ってきたら秩父の夜景が見えてきて、ゴールが近いことを知ってちょっとホッとする(この夜景を写真にとったら手がかじかんでいて、めちゃくちゃボケた)。ロードに入ると、やっぱり走りやすい。今回は初の雨のトレイルで、走り始めは滑りまくりだった。自分のシューズを履いていない感覚。詳しいことはよくわからないが、高尾とかとは地質が違う気がした。固くて、雨に濡れてすごく滑りやすい石の種類(?)もあり、脚をつく向き、場所、力加減など少しずつ気をつけながらすすんできた。最後に思いっきり転倒したけれど、こういう小さな工夫を身体が覚えるのだと思う。ロードでは絶対に身につかない。

ロードに入ってから意外に長く、途中丘トレイルっぽいところがあったり、あちこち迂回して、ようやく秩父の町の中に入ってきた。暗くてちょっと迷ったり。町はいつもの風景なのだろうけれど、ネオンがまぶしく感じる。信号待ちしていたらスタッフから「もうおわっちゃいますよ、最後がんばって!」と言われ、たしかにちょっとさびしい気持ちも。一緒に走ってきた人たち3人で、キロ5分前半で最後の力を振り絞った。ファミリーマートを左折するとゴールとなる秩父神社が見えてきた。この景色を見るために走ってきた。脚をゆるめることなく、そのままゴール。10時間52分。奥宮さんが出迎えてくれた。一緒に走ってきた人とも握手。一気に脱力、完走証をもらって、神社の境内に座り込み、ゴールの雰囲気を楽しんだ。予定より少し早かったけれど、やっぱり長かったなと。ただ10時間ぐらい身体を動かすことに慣れてきた気がする。

ゴール後、選手は、近くの武甲温泉というところに100円の割引(800円→700円)で入れる。割引率安めだけどありがたい。神社そばから、選手のために随時送迎バスが出ている。当日は24時間営業していた。自分は車で移動。ランナーたちでごった返しているかと思ったら、そうでもなかった。もっとも自分のゴール時間がボリュームゾーンから離れていたからかもしれない。ここでひたすら温まって生き返った。

終わってみると、もっと長い距離を走れる気もするけれど限界な気もする。もっと速く走れた気もするけれど限界な気もする。記録的なことはよくわからないし、考える気もない。

ただひとつ言えることは、長時間、自然の中に身をおいて「自分にとっての自然は何か」を考えさせる機会だったことは間違いない。自分にとって自然なことをやり、不自然なことはやらない。具体的にどんなことなのかを知るための「感覚」を養う場だ。たぶんこれからもこれを感じるために走り続けるのだと思う。

学生時代に、大腿骨を骨折したり、膝の靭帯を断裂(不完全)したりしたのに、この歳になってこんなに脚を酷使するとは思わなかった。ただ走れば走るほど身体の可能性を感じる。健康な身体に感謝だ。もっと内省的なことを書こうと思ったけれど、今日はこれで終了。というかもう終わりでいいかな。

Related Articles: