TOEICテストを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会が、48の国と地域の2013年の平均スコアを発表しています。日本は512点で40位でした。ちなみにベスト10は以下のとおりです。

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このデータをどうのように見るか

こういうデータに対しては、「受験者数の母数が違う」ことを挙げて、このデータが必ずしも日本人のレベルの低さを示していないという意見が多いような気がします。このデータは受験者数は500人以上の受験者がいた国と地域を対象にしています。エリートしか受験しない国と日本のように236万人(BridgeやSWは除く)も受ける国ではレベルの差があって当然というわけです。

個では勝てない時代に

そうだとしても、上位国のエリートと平均的な日本人が戦ったら負けることになります。バングラディシュの平均895点は驚異的なスコアだと思いますが、そのエリートに英語力で勝てる日本人は極めて少ないことになります。ビジネスの場面で勝てているとするのであれば、それは今まで培ってきた日本の技術やサービス、製品の質の差です。歴史や伝統に支えられている勝利と言えるかもしれません。

言語を数値化することの限界

TOEICで図れる英語力は一面的だという声もあります。それもそのとおりです。そもそも自分は言語力を数値化するのはナンセンスだと思っています。考えや想いを伝える手段としての言語は、選択式の問題では計測できないからです。ただ、外国語の習得ということで考えれば、それを使いこなすための、一定のルールや規則は存在します。TOEICはそれを図っているわけです。だからルールや規則やコツを知り、多少反復練習すれば、コミュニケーション能力とは無関係に、高得点がとれます。TOEIC満点でもコミュニケーションベタな人はたくさんいますが、それはTOEICの問題ではなくて、言語を数値化することの限界を示していると思うのです。

TOEICに対する関係者の意識は?

自分は、TOEICのスコアの低さは、基本的なルールの理解不足と解釈しています。もちろん、ルールを知らなくても、身振り手振りでなんとか伝えようとする気持ちは大事ですが、だからと行って、低スコアでよいという結論にはなりません。大学の英語関係者の中に、この結果をどれだけ真摯に受け止めているのか、疑問でもあります(日本は2012年の結果も45の国・地域中39位でした)。「大学は教養と専門知識を教える場所だから、検定試験対策はしない」という建前はとっくに崩壊しています。

まとめ

自分としても何がなんてもTOEICをやるべきだとは思っていません。ただ236万人の受験者が低調な記録しか出せないことが問題だなと思っているのです。モチベーション低いまま、団体受験させられるケースが多いからでしょうか。傾向と対策を知り、そこに向かう姿勢は、応用可能性は高いとも思っています。自分は、大学では2年の終わりまでに、目標点を確保してほしいと授業で伝えています。ツールだからこそTOEICは早めに終わらせて、自分の勉強に打ち込んでほしいのです。

ランキングの詳細は→http://www.toeic.or.jp/press/2014/p011.html

==【昨日の活動・所感】==================

・叔父の訃報が朝届く。自動車産業のジャーナリストだった。自分の大学時代、叔父の事務所でバイトをさせてもらったが、その猛烈な働きぶりにあぜんとした(そして怒られっぱなしだった)。社会の厳しさを教えてもらった。今年の5月に体調を崩して入院。8月下旬にお会いしたのが最後となってしまった。

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