「聞くだけで話せるようになる」と宣伝している英語教材があります。「そんなことないでしょ〜」と思いながらも、なぜ手に取る人が多いのでしょうか。詳しい内容はわからないのですが、宣伝内容から、その種の教材について考えてみました。

聞くことと話すことの因果関係は

聞くことと話すことは別のスキルです。それぞれのスキルに絞った勉強法が従来の学習方法だと思いますが、あえて「聞くことで話せるようになる」と主張するのであれば、その根拠が必要です。なのに理論的な根拠が説明されていません。

野球でいえば、走攻守が必要とされるスキルですが、「守ることで打てるようになる」とか「バッティング練習をすると、守りがうまくなる」という人はいません。それが可能だというのであれば、その根拠を明示しないとだれも納得しません。

インプット→アウトプットの順番は同感するが

聞くことはインプットのスキルと理解されます。 対して話すことはアウトプットです。インプットしていない語はアウトプットできないので、インプットが先ですね。そこは納得です(英語ができない人の多くは単語力がないので、アウトプットするものがないのです)。ただし、音声をインプットするだけで、音声がアウトプットできる根拠は相変わらず、不透明ですし、そもそも、音声をインプットできるようになるだけでも、大変な練習量が必要とされるので、なおさら不可解です。

リピーティング・シャドーイングと別モノ

リピーティングとかシャドーイングというトレーニング法があります。英語の音声を再生し、少しあとからその英文を自分でスピーキングする練習法です。これは「音声を使った、話すための練習法」で「聞くだけで話せるようになる」こととはまったくの別です。

CMのよくあるパターンは有名人の体験談+無料サンプル

CM多くは、有名人を登場させて、「前はしゃべれなかったのに、話せるようになれた」という体験談を紹介しています。内容はというと「2段階のスピードで収録」「ネイティブが日常で使っているいきたフレーズが満載」「英語のあとに日本語が収録されているからインプットがスムーズ」などと「よくある勉強法」を紹介しているのみです。

そしてラクな勉強法であることもアピールしています。「1日5時間勉強してください」とか「お送りする教材を5回やってください」などと言うことはありません。「すきま時間でも勉強できる」などと気軽に始められることを強調しています。

ただどの勉強も集中力×投下時間で効果が決まります。効率的な勉強法はありますが、ラクな勉強法はありません。

たいてい宣伝の最後には無料サンプルの案内があります。実感してもらうためには、サンプルが一番、ということなのでしょうが、潜在的な顧客の名簿を集めたいという意図が見え見えですね。

まとめ

「そんなことあるわけないよ」と思いながらも、つい楽な方法を魅了的に感じてしまうのは、英語に限ったことではないと思いますが、その商品が提供してくれる本質を見極めて、正しい教材選びをしたいものです。

 

==【昨日の活動】==================

・午前中ゲラ読み→PDFにして出版社に送付。ようやく初校が終わる。でも前半部分の再校が明日出る予定。息つくひまがない。月末に下版なのに、まだこんな段階…。

・近所の和菓子屋が閉店する。丁寧なお菓子作りでとっても人気店だったので、残念。閉店の理由は、近隣の人からの苦情だとか。応援してくれる人がいればいるほど、敵も増えるというこか。ビジネスはどこで足を引っ張られるかわからない。

 

 

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