書店にはTOEICの教材が溢れています。就職に、転職に、昇進に、と社会的ニーズが巨大な試験だけに、各出版社とも刊行を続け、乱打戦の様相を呈しています。実際に何をかったらいいかという声も少なくありません。

私はこういう教材を作る立場でもああり、教材を使って学生に教える立場でもあります。両方の視点から教材を選ぶときの注意点をお伝えします。

TOEIC試験問題は非公開

その前にTOEICの教材がなぜこんなに多いのかというと、それは過去問を公開していないからです。公開していないと起こることは受験生しか、実際の問題に触れることができません。書店で本を手に取っただけでは、その問題がどれだけ本番らしいのかが、判断できないのです。もっというと、1回や2回受験しただけでは、出題の論点や出題傾向を判断することはほぼ不可能です。

TOEIC問題形式は変わらない

2006年5月から、現行の問題形式になってから、変更は行なわれていません。形式は同じです。でも質は少しずつ変わっています。その時期で頻出となっている単語も変わることがあります。その違いはとても微妙なので、これも学習者や読者が判断することはほどんど不可能といっていいでしょう。

出版社がTOEIC本を刊行し続ける理由

つまり、問題形式変更ナシなので、見た目はTOEICの問題として成立します。しかも問題非公開なので、なかなか変化が受験生にわかりにくいことが、本の寿命を伸ばしている理由です(掲載されている問題の賞味期限はすっかり切れているものも書店に置いてあったりします)。しかも年間200万人が受ける巨大市場なので、各出版社は新刊発行に躍起になるわけです。

TOEIC教材が提供すべきこと

TOEICの英文レベルはさほど高いものではありません。攻略はさほど難しことではないと思います。ただ、考えるべきは、どれだけ時間をかけないで達成できるか、ということです。短期での目的達成をするためには、もはや出題されないような古い問題を解いている時間はないのです。教材は「スコアアップ」だけでなく、「時短」を実現するものでなければならないと考えています。

教材を買う時に考えるべきこと

「短期間での目標達成」を強く意識して学習に向かってほしいと思います。教材を選ぶ時は、著者の実績につきると思います。著書が売れているかどうかというよりも、毎回受けて、内容を分析していることが重要となります。よくある「990点取得者」というのは、もはやウリになりません。継続的に受験(理想は毎回受験)していて、微妙な試験傾向の変化をつかんでいるかが肝です。TOEICは毎回変化しています。そういう意味では、毎年シリーズでTOEIC本を出版している著者とか自分でTOEICの塾を開講している著者はおすすめかもしれません。

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