後期から、大学で教えているある授業は、受講生が7人。昨年は同じ科目で30数名いたので、激減しています。原因がはっきりしていて、内容を難しくしたのと成績の基準を厳しくするとシラバスに書いたからです。昨年の遅刻者には厳しく対応したことも噂になっているはずです。

少人数だからできる授業

全体の授業回数から考えるとちょうど半分終わったところですが、かなり快適に授業ができています。なにせ少人数なので、学生と対話しながら、授業できている感じがします。と、同時に学生同士も仲良くなっているのです。内容はかなり難しい、というか、読みにくい本を読んでいるので、議論すべきところが盛りだくさん。学生同士の議論を聞きながら、自分自身新たな気づきをもらっています。友達のような雰囲気のなかでこういう議論ができるのは初めての経験で、学生からは「吉田ゼミ」と言われています。単なる選択科目なんですけど。

授業の内容も尖らせてみる

昨年までは、やはり一方的にならざるを得ず、それを回避するために、グループディスカッションやワークなどを取り入れたりもしましたが、なんかしっくり来ませんでした。もちろんそれはそれでやり方を考える必要があるし、工夫のしどろこなのですが…。ただ今年は「とがる」ことが自分自身のテーマなので、上記のように内容を大きく変更してみました。結果としては成功でした。授業中、ちょっと脱線して、自分の経歴を話したり、就職活動の相談に乗ったりすることもできて、今年の学生には印象的な授業になっているはずです。さらに学生まで「どんどんとがりましょー」「オレもとがります」などと思わぬ言葉が飛び交っています。こちらの本心を誤解されないようにと、こっちも疲れるけれど、なんか楽しいです。

選択科目の学生を自分で選ぶ感覚

こういう状況はやはり自分で作るものだと思いました。自分が学生のときもそうでしたが、ゆるい授業をやるから学生はゆるい気持ちで授業にのぞむのです(この類いの学生間の情報交換は本当にはやく、密なので、どんな授業かは皆が知っているはずです)。ほかの科目との兼ね合いとかゆるい学生の反応とかを気にしないで、やっぱり自分が思うことをやればいいのです。その方向に関心を示す学生が集まるはずです。実際、今のリーダー格の学生(4年生)は、去年、自分が持っていた別のクラスを履修して、単位がとれなかった学生。今年のこの科目は選択科目だし、避けようと思えば避けられたはずなのに、授業初日に「この授業、おもしろそうなので再チャレンジしにきました」と話してきました。今やクラスをひっぱる存在になっています。本当に頼もしいです。

まとめ

受講生が多いのは、人気の表れかもしれませんが、なぜ学生が集まるかを考えたほうがいいです。本当に本当に魅力的な授業なのかどうか。そして実際問題として、大人数のクラス運営は大変だし、採点も大変だし、成績評価だって、大仕事です。本心は学生は少ない方がいいはずですが、でもそれを言えないし…、とはいえ思い切ったこともできないことが多いのですよね(自分がそうでした…)。でも自分にとっても今年のこの授業は今までで一番印象的です。少人数とお付き合いして、その人たちに価値を提供する。これが大学でもビジネスでも本当に大事だなと痛感しています。

==【昨日の活動・所感】==================

・授業で扱っている書籍はこれ。専門書にありがちですが、決して読みやすいとは言えません(英語ができる人は原書で読んだほうがいいかも、です)。編集者の立場からすると、著者に修正をお願いしたいところがたくさんありますが、でもこんな偉大な著者に意見できる編集者はいないのでしょうw

 

Related Articles: