伝える力は大事です。言うまでもないことですが…。人間関係のストレスの多くは、自分が考えていると人が考えていることが違うということよりも、自分の思いがきちんと伝わらないことやほかの人の考えていることがこちらに伝わってこないことにある気がします。

相手視点のコミュニケーションを学ぶ

メッセージは相手の視点で発信しなければ、と思いつつも、前提や常識が違うと伝わらないことがあります。その前提や常識も確認することもコミュニケーションの一環です。そこが難しいとも思うのですが、最近感じることは、人はそれぞれの価値観があることを前提にすれば、自分の常識に寄りかかってコミュニケーションを始めることはなくなります。すべてのコミュニケーションにおいて、その確認作業をすることは困難だと思いますが、少なくとも相手が言っていることを受け止めることを基本とすれば、ずいぶんコミュニケーションの取り方が変わってくると思うのです。

学生が期待することを聞いてみたら

今週は、大学の授業は1週目だったので、授業の進め方や方針、あるいはその理由、ゴールを説明した上で、「この授業に期待すること」を書いてもらいました。そこでの注意事項として「この授業は大事です。だからがんばります」のようなコメントは止めてほしいと言いました。そんなことは何も考えていなくても書けるからです。中には、自分にとって大事な気づきを与えてくれた学生もいました。深く考えていることが確実に伝わってくる内容でした。来週はそのことについてコメントするところから授業を始めようと思っています。

学生の伝える力を鍛える

今期は、学生の「深掘り力」を重視するつもりです。深掘りという言葉を伝えることがそもそも難しいような気がしますが、意見の内容は大きな問題ではなく、なぜその意見を持つにいたったプロセスを考えてほしいと思っています。だから、自分と違った意見でもまったく問題ないし、むしろそういう意見を歓迎します。その時に大事になってくるのが「伝える力」です。学生の考えていることがこちらにちゃんと伝わっているか、ということを重視しようと思っています。幸い、今期の水曜日(「ビジネスライティング」「意思決定」「リーダーシップ」)は少人数のクラスが多いので、質問を連発できます(今年は「ラクな授業」を一切感じさせないシラバスにしたら、履修学生がかなり減りました。それでよいのです。受けにきた学生には、思いっきり実力をつけてほしいものです)。

まとめ

学生に向かって、一方的に「正しいこと」「正しい読み方」を学生に教える、という意識はやめます。人それぞれ、それまでの経験は違うし、得意不得意も違うし、背景知識も違います。感じ方は違うし、資料の読み方も違うのは当然のことなのです。自分の意見を大事にし、どれだけそのことについて考えているか、を問います。自分自身に毎年違う課題を課していますが、今期も楽しくなりそうです。準備にも時間がかかりそうですが…。

==【昨日の活動・所感】==================

・伝えることも大事だし、読む力も大事だと思い、「意思決定」の授業は、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」を、リーダーシップの授業は、ロバート・キーガン/リサ・ラスコウ・レイヒー「なぜ人と組織は変われないのか」と参考図書にしました。後者の原題は、Immunity to Change。Immunity(免疫)の意味を自分自身にも問いかけることになりそうです。

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