火曜日はアルバイトがふたり来る日。男子と女子。同じことをバラバラに教えるのはコストなので、同じ日に来てもらている。コストとはコミュニケーションコストのこと。情報の伝達や共有、進捗の把握はチームでやろうとすると必ずぶつかる問題。場当たり的にやると、手間と時間がかかる。これがコストになるという考え方。どの組織を見ても、その問題があるように見えて、いくらITツールを使っても解消できない。意識の問題だから。なので、最初からふたりを同じ日に呼んでみて、、わかる人がわからない人に教えることを意識させている。こちらとしてはバラバラに来てもらって、作業が順調に進んだほうがいいのだけど、まだまだそういう段階ではない。教えることは嫌いではないけれど、理解してもらうためには意外に時間がかかる。でもここで学んだ意味はあった、と思ってもらえるようにと思う。
この日に必ず思うのは、自分が大学生のときに叔父の会社にバイトに行っていたときのこと。叔父は出版社にいて、ある分野のエキスパートになって、雑誌に文章を書いていて、55歳で独立して、ジャーナリストになった。そこに大学生のときにバイトに行っていた。海外出張もしばしば。英語で電話してたときが妙にかっこよかった。ジャーナリストという仕事ではくくれない仕事もやっていて、それはそれはスゴイ偉大なことだと思っている(会社名もおおよそそんなことをやっているとは思えない感じの名前だった)。あの仕事は職人的で、書ける人はやっぱりスゴイと思った(というか、どうやったら本がかけるのだろうか、と思っていた)。行き始めたのは、大学と会社が近くにあっただけの話なのだけど、叔父は、いつもバリバリ仕事をやっていて、勢いのある人で、大きな声でしょっちゅう怒られていた記憶が鮮明に残っている。あの叔父も自分のことを、今の自分と同じように思っていたのだろうなあと思ったりする。いやいやそもそもコストと考えるような戦力になっていなかったかもしれない。3年前に亡くなってしまったのだけど、自分がいつも手帳に挟んでいるボールペンはその叔父の遺品だ。「お前も一人前になったか? まだまだぜんぜんできていないけれど」と言われている気がする。