昨日、『減速して自由に生きる』の著者(高坂勝氏)が経営するオーガニックバー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」に行ってきました。

私は、3月下旬に知人からこの本を紹介され、この著者が提唱する「ダウンシフト」という生き方に深く感銘を受けたのです。

ダウンシフトという生き方

豊かさのリデザイン、働かないように頑張る、稼がない自由、システムから降りる、ヒマな店を目指す、半農半X(はんのうはんえっくす)などの言葉や、週休3日で食の自給を目指していることなど、なにもかもが衝撃的でした。

池袋駅から10分ほど歩き、大通りから少し離れた店を訪れてみると、そこには店主の世界が広がっていました。靴を脱いで入る店内、カウンターと2つのテーブル席しかない小さな空間、そこにいるお客さんたちや、店主との会話、提供している食べ物、飲み物など、すべてにこだわりを感じました。有形・無形問わず、そこに存在しているすべてのものやことが、自身の哲学を反映しているように感じられました。

減速して生きるとは?

ダウンシフトという生き方の詳細はこの本を読んでいただくとして、自分自身が感じることは、「減速して」という意味は、本来の自分を取り戻す、ということなのだと思っています。

会社に入れば、理不尽なコトも多く、それに耐え、常に右肩上がりが要求されます。そして自分も「あと何年経てば昇進/昇給できる」などと思い、右肩上がり会社生活を求めるようになります。家族との会話や地域社会との接点、趣味等に費やす時間がまったくなくなったとしても、その方向は捨てられません。

そして、どんなにキツい仕事があっても、どんなにつらいことがあっても、「頑張らない」ことを正直に告白することは不可能です。これを言えるのは退職のときぐらいでしょうか(私はそうでした)。社内にいる多くの人が同じような経験をしていたとしても、落ち込んだ姿をひたすら隠すことが求められます。

システムから降りる

そういう縛りから解放することが、「組織のシステムや上昇志向のシステムから降りる」ということなのでしょう。

そのかわり、しがらみがない自由を楽しんだり、人とのつながりを大事にしたり、時間に追われない生活をすることこそが、結果的には自分を豊かにし、幸せにし、周りの人を幸せにし、地球にもやさしくすることになる、ということを、本書は説いているのです。

自分を取り戻す

自分は独立して3年目ですが、編集の仕事はチームで仕事し、徹底的に効率化し、時間を大事にする生活を意識しだしています。そして精神的に余裕のある生活を送ろうとしています。

最近感じたことですが、今年ほど、自宅に植木の新緑に目が留まるときはありません。日々芽吹く様子が気になります。これも本来の自分を少し取り戻したと言えるのかもしれません。

人の生き方は人それぞれなので、右肩上がりの生活を否定するつもちはまったくありません。でも自分にとっては、幸せのあり方の根本を考えさせてくれました。今、会社できつい日々を送っている人にはぜひ読んでほしい1冊です。

Related Articles: