売れ続ける本を出版するにはベストセラーを狙ってはいけない

「出版するにはどうしたらいいんだろう?」
「ベストセラー著者になって、全国に名を知られる存在になりたい」

あなたは、そんな疑問や願いを持っていませんか?

そんな方々に、私はいつもこのようにお伝えしています。
「売れ続ける本を出版するには、ベストセラーを狙ってはいけません」
あなたは驚くかもしれませんが、これは、出版業界に20年以上身を置き、200冊を超える出版に携わってきた私の経験から学んだ教訓です。出版企画を作る段階からベストセラーを狙うことは、著者にとって大きなリスクがあるのです。

なぜ、売れ続ける本を出版するにはベストセラー出版を狙ってはいけないのか?

なぜ、売れ続ける本を出版するにはベストセラーを狙ってはいけないのか?その理由は、ベストセラー出版を狙って出版企画を作ると、「市場に売れること」に照準を合わせてテーマ設定をすることになってしまうからです。売れることを優先にすると、必然的に読者ターゲットの母数が多い領域を狙うことになります。読者ターゲットの母数が多い領域を狙うためには、万人が理解できるような浅い内容を、できるだけ耳障りの良いキャッチーなタイトルで出版することが求められるのです。もしもあなたが、その道のプロとして、特定の分野について深く語れるコンテンツを持っていたとしても、ベストセラーを狙い出版するには、そういった内容の深さや濃さはむしろ敬遠されます。

読者に迎合した薄っぺらい本を書くと、あなたはそのような著者として市場から見なされるようになります。あなたが築き上げたブランドや品格は損なわれ、出版がビジネスに悪影響を与えかねません。さらには著者としても、早ければ数ヶ月で飽きられ、書店の棚から出版した著書は消えてなくなります。2冊目以降の出版チャンスは巡ってくることがなく、長期的な著者人生プランも描けなくなってしまうのです。

*ベストセラー至上主義のリスク

・ベストセラー出版を狙うと「著者が言いたいこと」ではなく「市場に売れること」がテーマになる。
・ターゲットの母数が多い領域を狙う羽目となり、著者の本来の専門領域から対象を広げる必要がある。
・濃い本よりも薄い本を出版することが求められ、ハイブランドで活動する著者の場合は、ブランド・品格が落ちる。
・よりキャッチーさだけを求められる傾向があり、出版業界に消費されて、長期的な著者人生プランが描けなくなる。

ロングセラー出版を実現できると著者の人生はどう変わるのか?

では逆に、ロングセラー出版を狙うということは、著者にとってどんな意味を持つのでしょうか。
ロングセラー、つまり時代を超えて売れ続ける本とは、流行り廃りに左右されない、時代を超えて普遍性を持つ、本質を捉えた内容の本です。そのような本を出版するには、著者の専門性や経験、信念などを濃く映した企画を作る必要があります。その道のプロとしての実力が試される場面でもあります。
著者の生き様そのものと言えるような濃く、深い本を出版することができれば、
「あのときにあの本を書いておいてよかった」
「あの経験を体系化しておいてよかった」
とあとから思えるような人生の宝になります。ベストセラー本のようなキャッチーさや手軽さはなくとも、読み手の心に深く刺さり、時にその人生を変えてしまうほどの影響を与えることもあります。時代を超えて読まれ続けるロングセラーを出版できれば、それは長期にわたって著者のブランディングを支えてくれる1冊となるのです。また、出版業界からも「売れ続ける本を書ける著者」としてみなされ、2冊目、3冊目の出版依頼が次々に舞い込むようになるでしょう。あなたのビジネスにとっても、著者人生にとっても、ロングセラー出版を実現できるとこのようなメリットがあるのです。

*ロングセラー出版を狙うメリット

・自分の伝えたいことをしっかりと言い切れる。
・ニッチ市場で出版することができ、本業に繋がるブランディングが出来る。
・濃い内容を伝えることが出来き、著者の実力が存分にアピールできる。
・キャッチーさではなく本質的な価値を表現でき、出版したことに誇りが持てる。

では、そんなロングセラーとなるような本を出版するには、具体的にはどうすれば良いのでしょうか? まずその第一歩は、「通る企画書」作りから始まります。それは、ただ企画書のフォーマットを埋めるだけでは作ることはできません。ロングセラーとなる本を出版するには、編集者のツボをついた企画書作りが必要です。私も20年以上、編集者をやっていたからわかりますが、編集者のツボを押さえた企画書を作ることさえできれば、出版企画を通すことは容易いことです。

ロングセラーとなる「通る企画書」を作る3つのポイント

ポイント1:書きたいネタを徹底的に棚卸しして同時に3本の出版企画を作る

出版したい人の多くは、「あれも書きたい」「これも書きたい」というネタが沢山あると思います。その書きたいネタを、まず全て棚卸しするところから始めましょう。私のセミナーでは、同時に3本の出版企画を作るスタイルを取ります。自分が持っているいくつかのネタの中から、使えそうなネタを3つ厳選するのです。
書きたいことが沢山ある人でも、いざ、出版企画として本当に使えそうなネタを3つ用意することは、とても骨が折れる作業です。自分がユニークである点を目一杯掘り起こして、すべてを吐き出さなければ、到底3本の企画などできません。しかし、この作業が出版するには非常に重要なポイントになります。使えないと思っていたネタが、軸や視点をずらして見ると「お宝ネタ」になったりする場合もありますので、ぜひ、同時に3本の出版企画書を作るつもりで人生の棚卸しをやってみてください。

同時に3本の出版企画を作るという、この苦しい工程を経ることで、結果的にひとつひとつの出版企画が「濃い出版企画」=「通る出版企画」となります。また同時に、「通る出版企画書を作る力」が身に着きますので、続けて2冊目、3冊目を出版するには大きなメリットがあるのです。

ポイント2:読者の視点で仮タイトルを設定する

自分の書きたいネタ、書けるネタを自分中心に発想したら、その次の段階として、仮タイトルを考えます。この仮タイトルを考える時に重要なことは、読者目線でベネフィットを打ち出すということです。ベネフィットとは、「この本を読むと、読者にとってどんないいことがあるか」「読者はどんな未来を手にできるか」ということです。
私は、「プロダクトアウトでネタを出し、マーケットインで仮タイトルを考えるべし」といつもお伝えしています。出版するには、この両者のバランスがとても重要です。プロダクトアウトに偏りすぎると、著者の一人よがりで、読者にとっては魅力に乏しい本になります。逆にマーケットインに偏りすぎると、市場に迎合した中身の薄っぺらい本になってしまい、著者自身にとっても納得もいかない本になってしまいます。

ネタから仮タイトルを作る具体例)
例えば、ネタ出しの段階では「有能で成功するコンサルタントを育てる本」を書きたいと思ったとします。しかしこのままタイトルにしたとしても、読者にとってベネフィットがわかりづらく、魅力的には感じられませんよね。これをマーケットインの発想で、読者目線で仮タイトルを考えると「サラリーマンが在職中に4ヵ月で顧問契約を3件獲得してコンサルタントとして独立する本」となるわけです。

ポイント3:仮タイトルから目次構成案を作る

マーケットインで発想した仮タイトルを作ったら、そこから書きたい内容を整理・再構成します。ビジネス書を出版するには、重要なことは「いかにしてその内容に再現性があることを伝えられるか?」です。「サラリーマンが在職中に4ヵ月で顧問契約を3件獲得してコンサルタントとして独立する本」であれば、「4ヵ月で顧問契約3件」「サラリーマン→コンサルタント独立への変容」の再現性が、説得力を持って伝えらえる目次構成案を作ることが必要です。もしもどうしても書けない場合は、仮タイトルを再考する必要があります。

ロングセラーに繋がる本を出版するには、以上の3つのポイントを押さえて出版企画書を作ることが重要です。ところが、ほとんどの著者志望者は、徹底的なネタ出しもしないままに出版企画書を作り始めてしまいがちです。そのような状態で出版企画書のフォーマットを埋めることができたとしても、出版企画が通過する可能性は低いでしょう。以上に紹介した3つのポイントを押さえて、「自分の書くものがどういう読者にどんな意味があるのか」を考える視点がとても重要です。
このポイントを押さえて出版企画書作りに取り組めば、あなたの経験や思想を深く映し出した濃い本、時代を超えて長く読者に影響を与え続けるロングセラー本を出版できる可能性を高めることができるはずです。

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