自分の思いや理念を、(たとえば書籍で)伝えることの目的のひとつは、著者のこっち側の世界とあっち側の世界を作ることにあると思う。こっち側の世界とは、簡単に言うと、自分の思いに共感してくれる人たちの世界、あっち側の世界とは、自分の思いに無関心な人たちだ。こっち側の世界にいる人たちの存在がわかると、その人たち向けてもっと濃い内容が提供できるようになる。

ただ、人数としては、圧倒的にこっち側の人たちのほうが少なくなる。当たり前のことだけど。極端なことをいうと、著者をとりまくこっち側の人たちは20人かもしれないし、50人かもしれないけれど、そういう人たちにむかって、その人たちは著者から何を知りたいか、とか、著者とどんな経験をしたいかを知ることはむずかしくない。思いに共感してもらっている人のニーズは正確に把握できる。こっち側でビジネスを作るということだ。こっち側の世界が少しずつ大きくなることは著者にとって意味が大きい。

あっち側の大多数の人にむかって、こっち側に来てほしいと思うのは普通だけど、それは簡単ではない。というか至難。相手に対するベネフィットを語れば語るほど、差別化は難しくなるし、価格競争にも巻き込まれがち(あっち側の人をこっち側にするには別の議論が必要なのでここでは省略する)。

個人事業主も中小企業も、情報発信が大事と言われるけれど、あっち側とこっち側の世界を線引きする内容でないと意味がない。実際にやっていることだけでなく、思っていること/考えていることを素直に表現できるかが分かれ目になる。(自分が好きではない)情報発信という言葉をあえて使うのであれば、そういうことを含めての情報発信ということなんだと思う。これには多くの自問自答、自己との対話、内観が必要。それを徹底的にやったかどうかで質がかわる。やっていることを示すだけで、こっち側にきてもらうことはとっても難しい。

こういうことを平たく言うと、ファンづくりには著者の思いが大事、ということなのだけれど、その肝は「あっち側の世界の人たちのことを気にせず」「絶えず自己との対話を通じて」「自分の思いを素直に等身大で表現できるか」ということだと思っている。思いが素直に表現できない人については、またの機会に触れる。

~書籍情報・西荻窪の玄米菜食のお店「米の子」亭主が語る素材と感謝 亭主啓白~

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