執筆のオファーがあったときの対処の仕方をお話しします。出版社から(初めての)執筆のオファーがあるのは、とってもうれしいことだと思います。「やります!」「がんばります!」と即答したい気持ちもわかりますが、返事をするまえに、考えてほしいことがあります。

正しい情報に基づいたオファーか

まずは、執筆のテーマについて、です。初出版といえども出版社側は、自身のブログやだれかの紹介等なんらかの情報を持って、声をかけてくるはずなので、その情報を確かめたほうがよいです。その情報が古かったり間違っていたりするケースがあるからです。かつての経験で言うと、「ある学校で教えている」という、知人の情報で声をかけたのですが、あと2カ月で教えることを辞める、というケースがありました。その本は、授業中にあるデータをとって、そのデータを本に使いたいというこちら側の意図があったため、その話はなくなりました。こんな事例もあるので、執筆のオファーをされたときには、「自分の何を知っているのか」をつかんでおいたほうがいいと思います。

情報のズレはテーマのズレを招く、モチベーションの低下を招く

もし情報にズレがあると、オファーされた執筆のテーマも自分の関心事と異なることがあり得ます。関心事とズレたものを執筆しようと何が起きるかというと、確実に執筆の意欲が減退します。話を受けた当初は、「やります!」「がんばります!」と思っても、その意欲は簡単に減少します。企画が通り、出版が決定するとなおさらです。企画が決定してスケジュールが決定しても、そのモチベーションが低下しないようであれば、自分の書きたいテーマである確率が高いです。もちろんオファーに対して返事をするときに、そこまで考えられないかもしれませんが、それでもこういうことをイメージしておくことは大切です。

細心の執筆計画をたてる

テーマが自分に合ったものだとすると、次はスケジュールです。どんなにやりたいテーマであっても、急なスケジュールで執筆することは避けたほうがいいです。それまでの生活をどこまで変えて、どれだけの時間を執筆に費やさなくてはいけないか、のイメージも最初のことはあまりイメージできないと思います。ただ、編集の仕事をずっとしてきて思うことは、本を書くことは、相当キツいことだなと思っています。執筆期間は、生活がまったく変わるぐらいに、覚悟しておいたほうがいいです。ただでもそんな大仕事なのに、短い時間で執筆すると、必ず質の低下を招きます。

表にでるのは自分が書いたという事実だけ

短納期ゆえに質が低下したとしても、残るのは自身の著書である、という事実だけです。たとえ事実であっても「1カ月で書きました」なんてことは、読者は知る由もありません。多少無理は必要だと思いますが、質が低下しそうな締め切りの設定は、避けるべきです。もちろん、大半の出版社の編集者も気にしているポイントだと思いますが、ときとして、社内事情のためか、強引な締め切りを設定してくる例もあります。そういうオファーを受けるかどうかは慎重に考えるべきです。発行のタイミングを伝えないケースもありますので、それは打ち合わせの中で確認したようがよいでしょう。

まとめ

正しいテーマと正しいスケジュールは、よいものを作るためには、必須の条件だと思います。寝ずに書いたとしても、その分、読者から評価されるわけではありません。担当編集者には感謝されるかもしれませんが、それと引き換えに、納得の行かないものを世に出すことの意味を考えたほうがいいかなとも思います。

==【昨日の活動・所感】==================

・スカイプミーティングのあと、午後出版コンサル。夜は、知人主催のセミナーのお手伝い。セミナーの内容がすばらしく、お手伝いしながらも、聞き入ってしまいましたw

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