先日、CAMPFIREでのクラウドファンディングが終わったので、その経験をまとめてみる。

クラウドファンディングの内容は、著者(佐谷恭さん)がかつて書いた絶版本(『つながりの仕事術』)を大幅に加筆して出版することと、支援者たちで「つながりの仕事術」を実践するオンラインコミュニティを作ることの2点。リターンとしては、出版記念パーティーや起業相談、講演やパーティー自宅開催権なども入れた。

目標金額の189万円に対して、213人の方から、213万円の支援をいただくことができた。

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スタートしたのは8月9日。パクチーの日ということで、この日のリリースは最初から決まっていた。が本格的に打ち合わせをしたのは7月下旬。大慌ての準備。ランディングページが肝になるだけに、急ピッチで準備してアップしたら、システムエラーで保存できていなかったり。そんなこともありながら、なんとかリリース。佐谷さんはメキシコ滞在中。

CAMPFIREのランディングページ(https://camp-fire.jp/projects/view/91822

リリース直後は、参加してくれた支援者がいたが、その勢いはすぐに止まった。ページビューも下がり、支援者も出てこない。こんなものかと思いつつ、何をしたらよいかと戸惑い8月が終わった。この時点で、8.9%。これはまずい。

活動報告を書くことにした。CAMPFIREの中にこういう機能がある。「今、活動をしていますよ」「クラウドファンディングはこんな状況です」「こんな思いでこのプロジェクトやっています」を伝えた。この投稿は結構大きかったような気がする。終了までにふたりで計10本投稿した。もっとやればよかったけど^;

自分はすでに書いてもらっている原稿を「ちょい出し」して、連載っぽくFacebookに投稿。原稿の一部を読んでもらう仕組み。13回まで投稿したが、支援者の中には「あれを楽しみにしていたんですよ。10回が抜けていましたね(笑)」という声をいただいたり。佐谷さんは自分の活動にからめてクラウドファンディングのお知らせ投稿をする。だんだんパソコンを使っているときは、CAMPFIREの管理画面がずっと開きっぱなしになる。

クラウドファンディングのことばかりFacebookで投稿して、他人のタイムラインを荒らしているのではないかととも思ったりするが、やはり今は目標を達成することが優先。でも告知は自分が思っているほど知られてはいないこともわかった。Facebookのアルゴリズム的(?)にもそうだし見ている人の意識もそんなものだ。仲の良い友達も「最後の最後までそんなことやっているなんて知らなかったよー」という人がいてびっくり。とにかく黙っていたら支援してくれることは一切ないことがわかった。

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コミュニティは、支援者してもらった人たちで8月下旬から作り始めていった。自己紹介が始まり、具体的に参加してくれた人の属性がわかってきた。何を期待して入ってくれたのかを知ることが大きかった。そんなことも意識しつつ、今度はコミュニティ外へ投稿。とにかくワクワクしてもらわないと。

コミュニティ内のコミュニケーションも活発になり、目標金額に届かないかも?と思うと、追加でリターンを買ってくれた人もいたし、コミュニティにいる人が自身のタイムラインでおすすめしてくれたことも多かった。「最終日には何度もCAMPFIREのサイトチェックしてドキドキしましたよ~」と言ってくれる人も。コミュニティーにはこのプロジェクトで200人ぐらいのメンバーが集まった。ここが著者のベースのひとつになるのは意味があること。もちろん自分にとっても。

裏方の仕事も多かったけれど、おもしろかった。佐谷さんと支援者の人たちのデータ共有ファイルを作り、お互いがやることを明確化。セミナーやイベントは事務局の対応が満足度を左右すると常々思っているので、お礼メールと支援者たちのコミュニケーションをスムーズにを心がけた。個別に応援のメッセージをくれたり、Facebookで友達申請してくれた人もいた。このプロジェクトで興味をもってくれた人と直接会ったりもしている。

最終日となる101日は「運命の日」と称して佐谷さんの猛烈な追い込み。50万円以上を集めることができた。締切効果は達成していない主催側にあるのは当然だけど、支援する側にもある。かなり有名な人たちが最後の最後で支援してくれた。ちゃんとお願いすることの大事さを知った。

そのほかやったこととしては、期間途中でのリターン追加、2500枚のポスティング、100ヶ所ぐらいへのプレスリリース送付、Facebook動画での対談など。あとは達成後の緊急記者会見^^

佐谷さんがポスティングし始めたら、コミュニティの中の人も協力してくれて、わざわざ印刷して配ってくれた人もいた。なんとありがたいことか。これはもっと早く始めたらよかったと思った。どんな効果があったかわからないけれど、皆でやると目標達成への意識が高まる。自分はランのついでにやったら楽しめた。時間も場所も限定しなければ、かなりやれる。

この経験をすると、チラシとかPRとかも同じだけど、顔がみえない人とのコミュニケーションを自分の中でどう妄想するかがキーになると思った。常に次は何をしようかなを考える時間が続く。9月はほかの仕事と重なり、かなり忙しかったが、これぐらい集中しないとできないことと思う(月間走行距離が60キロにも満たないのはもうレースに出る資格はないようにも思えるzzz)。

9月28日に書いたブログ:クラウドファンディングがもたらしてくれること

いろいろ書いたけれど、支援する側からすると「この人たち、何者?」という目で見ている。『7つの習慣』でいう「信頼口座の残高」がないとうまくいかないのだと思った。自分のことを知る人は少なかったので、今までやっていることを見られている気がした。それだけ佐谷さんの今までやってきたことが大きい。

信頼残高以外の部分、つまりなにをどう使えばよいかなどやり方は2割ぐらいだと思う。しかもやり方は、進めながら、対応や改善策を考え続けるものだ。それを決めればやれる。スキル・テクニックは必要だけどそれより大きなものがある。自分がやり方だけの本を出さないのはこのためだと再度自覚。

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「クラウドファンディングで本を出したい」とずっと思っていた。だれとどうやればいいのか? 佐谷さんの原稿を読んでいたときにかつてそう思っていたことを思い出した。『つながりの仕事術』という書籍を出している。この人しかいない、と思い、パクチーハウス東京が閉店する前にお会いした(佐谷さんとは、2013年に明治大学で講義をしたときに一緒だった。この講義に声をかけてくれた人は、自分が会社を辞める前にたまたま会社のロビーで紹介され立ち話しをしただけの人だった。どこでいつつながるか本当にわからない)。

佐谷さんに、今までの振り返りの文章を書いてもらえますか?とお願いしたら、快諾してくれて、あちこち海外を飛び回りながら8万字ぐらいの文章をかいてくれた(ここまでやってくれる人はそうはいない)。世界初のパクチー料理専門店とか東京初のコワーキングを始めた人というだけでなく、もっともっと多角的に知る必要があると思ったからだ。結果、佐谷さんという人の全体の解像度が高まった。これが今回の本の原稿になる。

『つながりの仕事術』は絶版になっている。自分は絶版本を復活させるシリーズ(絶版新書)を始めているので、今回新たなラインナップとして復刊できることはとても嬉しいこと。今までどれだけ本を作ってきたか数えていないけれど、この本は新たな1冊になることは間違いない。皆の協力の賜物だ。猛烈に時間がないけれど、進むのみ。11月上旬入稿。11月20日パクチーハウス東京11周年&出版記念パーティー。

来年はじめぐらいに書店でも販売の予定。

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