コンサルティングを学んでプロデューサーの仕事を始めて改めて思うことは、クライアントの夢を実現する仕事なんだということ。今までは、編集者として作りたいものを作ればよかった。自分の興味や関心にしたがって、企画を立てて、本を作ればよかった。こう書くとなんだかとっても幸せな状況だと思うけれど、満足は高くなかった。そういう状況を作り出すまでのいろいろな段取りやルールが窮屈だったし、興味や関心が枯渇する怖さがあったのも事実。

 

でも満足度が高くなかった(というよりも、感じられなかった)要因は、感謝される機会が少なかったことも一因と今は思っている。当時は気づかなかったけれど…。編集者は著者には感謝されることはあるけれど、読者からのフィードバックはそもそも少ないし、あったとしても「訂正要求」や「持論と違うことによる抗議」などネガティブなものが多い。承認欲求がない人はいないのだけれど、編集者は意外とそういう機会は少ないのかもしれない。「売上がすべてを癒す」と言っていた先輩編集者もいた。そんな欲求などまったく関係なく、視野が広く、柔軟性がある人やものづくりが好きで好きで仕方がない人には、編集という仕事は魅力的なのだと思う。その気持ちはもちろんわかる。

 

今の仕事は、今までの視点が180度変わって、クライアントから感謝される仕事をしなければ意味がないということだ。目の前のクライアントに感謝されることが唯一にして最大の目標。この手触り感をこれをちょっとでも実感できるのは楽しい。同じ本作りなのに…と思いつつ、この転換がこんなに困難だとは思わず、こんなに時間がかかるとは思っていなかったけれど、ようやくこのことを実感できるステージにきたということなのだと思う。いろいろな人にお世話になって、迷惑をかけてきたけれど、今の仕事につけて幸せだと思う。多くの人に感謝しなければと思う日々。

【編集後記】

塾ではクライアント自身が執筆テーマとして考えていることを皆に紹介してもらうところからスタートするが、そこで自信があるところとそうでないところがわかる。なぜ自信があるのか、ないのかを探る。自信がないことは本には書いてはいけないので、この作業は必須。ここは改めてエントリできれば。

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