大きなマーケットを狙う前に考えるべきこと

本を書こうとするときに、「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」と思って、大きなテーマを設定したくなります。
大きなメッセージを伝えれば、多くの人に読んでもらえると思うのは自然のことかもしれません。
ただ、自分のストックネタで本を書こうとするときには、
大きなテーマを設定することは、やってはいけないことのひとつでもあります。

大きなマーケットとはたとえば、お金や健康、ライフスタイルなどの分野です。
多くの人が、健康のことは関心があるし、お金のことも関心ないと言い切れる人は少数でしょう。
ライフスタイルもよりよい生活を目指そうという人には刺さるテーマのひとつです。

これらの分野は大きなマーケットがあり、ベストセラーもこの分野で誕生することが多いです。
ただ、これらの分野には、すでに類書も多く、熾烈な戦いをしています。
その中で、知名度のない著者が安易に入りろうとすると、著者の人生として致命的になることがあります。

まず考えるべきことは、

「自分と同じようなことを書ける著者はいないだろうか?」
「これは自分しか書けないことだろうか?」

といったことです。

競合する著者を減らすといった発想なのです。

自分が書きたいものを書こうとすると、この意識が弱くなるので要注意です。

編集者は、常にいい書き手を探しているわけで、
「このテーマはほかの人でも書けそう」と思ってしまえば、企画が通る可能性は低くなります。

その分野のプロフェッショナルに書いてほしいというのは、どの編集者も考えることです。
それを当然のことと考えないといけません。
もちろん大きなテーマでもその人しか書けないことを伝えられれば、問題ないのですが、
出版事情がわからないと、テーマの立て方が難しいのが現実です。

こういう状況を考えると、まずやるべきことは、自分の専門性をとことん突き詰めることです。
必然的にマーケットは小さくなりますが、編集者に「この人にしか書けないテーマ」と思ってもらえれば、出版の可能性は高まるのです。
自分の専門性がわかってもらえたら、出版に対してより実践的なアドバイスをもらえる可能性もあります。

まだ書籍を出していない人は、「大きなマーケットは狙わない」をオススメします。

ロングセラーを目指す人が絶対に考えてはいけない2つのジャンル

もうひとつ、方向性を決めるときに気をつけることがありますので、それをお話します。

「自分しか書けないものを書く」を目指そうとするときに、絶対に考えてはいけないジャンルがふたつあります。
ひとつは、マニュアル・説明書です。
PCやアプリケーションの使い方などはある一定の需要が見込めますが、これで著者のカラーを見せることは至難の技です。
企画の方向性、ページ構成で差別化するにも限界があります。

もうひとつは、時事性の高いテーマです。
たとえば、今流行の「マイナンバー」ですが、運用方法や気をつけるべき点が、
コンパクトにわかりやすく書かれていれば、ある需要が見込めます。

ただ、競合書はたくさん出版されますし、この需要はやがては収まります。
それに伴い、書籍の売上も動かなくなるのです。まったく低調な数字に終わる本も少なくありません。

このジャンルが自分にとって、自分の専門性を100%いかせるもので、
しかもこの書籍を出すことが自分のビジネスにプラスになると考えれれば、その方向で企画を考えるのもよいとは思います。

でも、本当にそうなのか?を考える必要があります。
私としては、おススメしていません。ロングセラーとは真逆だからです。

あくまでも「自分しか書けないものを書く」ことを念頭におくのであれば、
マニュアル・説明書と時事性の高いテーマは避けたほうがいいと思っています。

Related Articles: