本に書きたいテーマを複数持っている場合があります。

ビジネスのことや、海外滞在の経験、あるいは趣味のことなどなど、あれもこれも書きたいという人は多いです。ただ、執筆を希望するテーマが複数あったとしても、自分が最初に出版ネタと考えるのは、「ビジネス」のことです。それはもちろん自分がビジネス書のプロデュースをしているから、ということもあるのですが、もうひとつ別の理由があります。

本を出版する、ということは、その著者はその分野の専門家とみなされるということです。本を手にとった人から、そう見られるということです。たとえば、イラストがうまい建築家がイラストの書き方の本を出したら、「絵を書き方を教えてくれる人」という認識をされるのです。

「それでいいのですか?」というのが私の問いです。

もちろんOKという人もいるでしょう。実際そうやって出している人もいるので、私は否定しません。ただ、あのピーター・F・ドラッカーも言っているように「何によって憶えられたいか」(非営利団体の経営)が重要な問いなのです。

たとえば、マーケティング・コンサルタントの人が自分のビジネスの一貫として、集客セミナーを開催している人がいるとしましょう。そこで圧倒的に結果を出していれば、その人は「セミナー開催の仕方」の本を書けるかもしれません。「人の心を動かす話し方」の本が書けるかもしれません。

ただ、それらの出版テーマは、その人のビジネスの本質ではありません。でも、読者はその人をセミナー開催の達人、話し方の達人と認識します。ここにズレが生じるのです。

このズレが著者としての人生を歩んでいこうとするときに、大きなネックとなるのです。一番大きな問題は、ビジネスの本質でないことをテーマとすると、何冊も本が書けなくなるのです。

1冊の本を書くのにも大変なことですし、その分野の専門家に内容で勝負できるのか?と考えるとかなり疑問です。先の例でいえば、セミナーをだれよりも多く開催している人とか、誰よりも多くの人を集客している人が書くべきですし、話し方の専門家に書いてもらうべきです。編集者はつねにプロフェッショナルに書いて欲しいと思っているのです。

複数のテーマで出版を考えている人は、まずはビジネスとの一貫性を考えるべきなのです。ビジネスが尖ってれば、本も尖れる可能性が高いです。あるいは本業×趣味で、独自の切り口がだせないかどうかを考えるとよいでしょう。

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